3月15日時点のタイ・スワナプーム空港出発ロビー。この時点でも利用者はかなり少ない
タイ、厳格な入国規制で日本人は事実上入国不可能に!?
東南アジアでは世界中にまき散らされた新型コロナウィルス感染症「COVID-19」を食い止めるため、実質的な入国規制を外国人に強制している国が増えている。日本よりずっと危機感を持ち、強硬な手段に素早く転じている印象だ。
観光で人気のタイは国籍問わず入国の際、この新型ウィルスの感染に関し
陰性であることを証明する、到着72時間以内に発行された医師の診断書を必要としている。この書類は現状の日本の検査体制からして日本での発行はほぼ不可能だと考えられ、実質的に日本在住の日本人はタイに入国することは極めて困難になった。
また、診断書のほか、
10万米ドル(約1000万円)に相当するCOVID-19に対する治療費が約束された保険に加入していることも義務づけられている。
保険は空港などで加入できる海外旅行傷害保険でどうにかなるはずだが、診断書が難しく、ほとんどの日本人が日本の空港でそもそも搭乗拒否を受けているようだ。この措置は先日3月22日から実施されているということで、実施以降タイに入国した日本人は数えるほどと見られる。
タイは、日本の外務省が毎年公表している在留邦人者数の中で米国や中国、オーストラリアに続いて4番目に長期滞在日本人が多い国だ。そのため、生活の基盤をタイに置いている日本人も少なくない。用事があって日本に一時帰国したものの、タイに戻れなくなった日本人もいることだろう。また、日系企業も多く進出しており、特にこの時期は駐在員の交代時期でもある。この入国問題で後任が着任できない問題も増えているようだ。
先日まで筆者はベトナムに滞在していた。3月15日に入国したが、その日から欧州27ヶ国からは入国できなくなったり、18日からは外国人へのビザの発給停止が実施された。ベトナムは社会主義国であるため、防疫措置の実行が素早い。外国人の入国禁止も時間の問題と見られ(実際に3月22日から実施されている)、そうなると国内に滞在する外国人が隔離される可能性もある。
筆者はそうなる前にベトナムを離れる必要があり、元々予定していた3月20日の便でタイへと戻らなければならないと18日ごろから焦りを感じていた。ところが、というか案の定、そう簡単に話が進まなかった。
ハノイのノイバイ空港の搭乗ゲートエリアは人がほとんどいなかった
3月20日はベトナムの格安航空会社ベトジェットの正午ごろの便でバンコクへと飛ぶ予定だった。しかし、前日の17時前後に欠航のメールが届いていたことに朝になって気がついた。ちょうど取材に出かけてしまい、メールに一切気がつかなかったのだ。
慌ててベトジェットに問い合わせると、どこのニュースにも載っていない話が飛び出してきた。
「昨日政府の決定で、ベトナム発の格安航空会社は4月25日まで海外行きはすべて欠航なんですよ」
国内線は飛ぶのだが、国際線は飛ばないという。一方ではフライトがちゃんとあるという人もSNS上にいたりで情報が錯綜している。いずれにしても、ベトジェットの公式ウェブサイトを見ると確かにすべてのフライトがない。ほかの格安航空会社もベトナム便がすべてない状態だった。ベトジェットでは振り替えどころか、払い戻しもないということで、ほかの便を探すしかなくなってしまう。