党資金の分配について、玉木代表とともに一任された平野幹事長(中央)
ただし、玉木新党が維新と組むことを想定しているのなら話は別だ。党資金をめぐる「(党内の)内ゲバ」というよりも、分党を先取りした
「政党間闘争(路線の異なる二政党の資金争奪戦)」という様相を呈する。
共産党を含む野党共闘で政権交代を実現しようとする合流新党に対して、玉木代表は自公との連立政権も取り沙汰される維新との将来的連携(選挙協力)を否定していない。
筆者は8月19日の会見で、玉木代表に維新との連携についても質問した。
横田:維新との連携について、先週(12日)の囲み取材で「今は選挙協力はない」とおっしゃいましたが、将来的にはあり得るのでしょうか。この(提案事項)文書を見ると「政権交代に向けた“大きな塊”を目指し」という言葉があるので、「政権補完勢力の維新とは将来的にも組まない」と理解していいのでしょうか。
玉木新党に残る前原さんは、維新との連携を口にしています。玉木新党が将来的に、維新と組む可能性はあるのではないでしょうか?
玉木代表:今まだ政党ができるかどうかもわからない段階で、他党との連携についてはコメントを差し控えたいと思う。ただ今回、新しく立憲民主党と合流する新党ができますが、そこには私たちの多くの仲間が加わると思うので、選挙協力をはじめ可能な限りの連携はしていきたいと思っています。
前原先生がどうされるかについてはまだ直接話していないので、今日の時点ではコメントは差し控えたいと思います。
希望の党設立時、小池知事と前原氏は維新との連携を進めていた
維新との連携が取りざたされる前原誠司・元民進党代表
すでに前原誠司・元民進党代表は15日の後援者との会合で
「合流新党には行かず、国民民主党に残る」と玉木新党への参加を表明、報道されてもいた。前原氏は、両院議員総会を退席した後の囲み取材でも同じ考えを明らかにしていた。それでも、玉木代表はコメントを避けたのだ。
囲み取材で「もう1回、小池知事と組むのですか」と前原氏に聞くと、一言も答えずに「取材終了」を宣言した
しかも前原氏は維新と地方分権に関する勉強会を開催。吉村洋文・大阪府知事を講師に呼んでもいた。2017年総選挙で民進党の代表だった前原氏は
「政権交代のために大きな塊を作ろう」「排除されることはない」と説明して民進党解体と希望の党への合流を進めた。その直後に、希望の党代表だった小池百合子知事が
「排除します」と明言、憲法改正と安保法制容認を“踏み絵”にして全員公認を拒否した。この時すでに、希望の党は維新との選挙協力を決めていたのだ。
つまり
小池氏と前原氏は、リベラル派を排除(公認拒否)して「共産党を含む野党共闘」から「維新との連携(選挙協力)」への路線変更を進めたのだ(新著
『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で紹介)。維新との将来的な連携を否定しない玉木代表と、当時の前原氏の姿が重なり合う。