技術運用評価、システム運用評価としては確率的手法を使っても良い
PCR法は、確率的分析法では無く、確定的分析法ですのでベイズ推定のような確率的評価手法を用いることは本質的に誤っています。しかし、システムとして運用するとき、そのシステム全体または確率的事象の介在する部分の運用実績の評価として確率的評価法は使えます。それにより運用上の問題点を評価、検出し、運用成績を大きく向上することができます。これは工学の常識的手法ですし、経営学でも用いられる当たり前のことです。
技術的産物に絶対はなく、主としてヒューマンエラーの可能性と効果を評価する必要があります。これには、ベイズ推定を用いることができます。しかしその場合の「特異度」は99%(2N)や99.9%(3N)*といった著しく低精度の「いち、じゅう、ひゃく、せん、たくさん、いっぱい、わかんない」という一部の医学・医療の方の世界ではなく、5N,6N,7Nといった全く異なる世界であり、更に多重化によって10Nから12Nという超極高精度の世界でもあります。これは全地球人口よりも一桁から二桁大きな話となります。だからこそ合衆国のように人口3億人を超える国で全市民の検査を行う計画が立案され、実行されているのです。
〈*Nとは、NineのNで、2Nが9が2個、12Nでは、9が12個を意味する。半導体工業などでは、9がたくさん並んで読みにくくなるために使われる。例えば、1N 90%、2N 99%、3N 99.9%、4N 99.99%、5N 99.999%、6N 99.999%、7N 99.9999%、8N 99.999999%、9N 99.9999999%、10N 99.99999999%、11N 99.999999999%、12N 99.9999999999%〉
要は、半導体工業水準を並みか、それを遙かに超える桁数の話を、
「専門家」などを僭称する「いち、じゅう、ひゃく、せん、たくさん、いっぱい、わかんない」という程度の数の概念の人たち*がワチャワチャ完全に無意味な数遊びで大混乱させてきているのです。結果、市民は国策医療ネグレクトで苦しみ、医療関係者は院内感染の危険にさらされるのです。
〈*例えば、ちょうど一年前に経産省による「自分の巣に糞を垂れる」行為として始まった12Nのフッ化水素酸輸出規制であるが、これを「日本SUGEEEEEE(スゲー) 」と狂喜していた人たちが、高々2Nの事象と5Nから12Nの事象の違いが分からず「PCRでは偽陽性GUAAAAAA」と国策翼賛デマゴギーに狂乱していることは滑稽を通り過ぎて醜悪である〉
PCR法に限らず、システム運用評価において確率的手法を使うこと自体はたいへん正しいことですが、PCR法については2Nや3Nでの評価は誤っています。世界の運用実績から見ても本邦での運用実績から見ても5Nから6Nが基礎的な数字ですし、本邦が、「いち、じゅう、ひゃく、せん、たくさん、いっぱい、わかんない」と足踏みしている間に、全世界は更に前へと進んでいます。結果本邦は、百万人当たりの検査数で世界215ヶ国・地域中157位です*。これが国策エセ科学・エセ医療教条主義の結果です。
〈*
Worldometer より2020/08/01閲覧/台湾のように早期にパンデミックを制圧した国は、日本より下位にある〉
PCR検査法についての科学的に完全に誤った国策翼賛エセ医療・エセ科学デマゴギーを捲き散らかす「いち、じゅう、ひゃく、せん、たくさん、いっぱい、わかんない」という程度の数の概念のお医者さん達は、患者の血管に100回に1度の割合で空気を注入するのでしょうか? この人達が言っていることはそういうことです。そうであるならば恐ろしい藪医者ですし、そうでないならば、ずいぶんと検査部、検査技師そして科学と工学をばかにした考えです。無知蒙昧そのものです。
ここまで確定的事象を用いた分析法であるPCR法について、確率的手法を持ち込むこと自体が誤りであることを論じてきました。
勿論、システム運用評価としての確率的評価法はPCR法でも使えますし、使わねばなりません。しかし、その場合は2Nや3Nといった精々一般試薬程度の数ではなく、5N,6Nを最低として、12N程度までの半導体試薬・ガス程度の精度であり、全く世界が違うことを論じてきました。
このような極超高精度の話を2Nや3Nで論じるのは、まさに「いち、じゅう、ひゃく、せん、たくさん、いっぱい、わかんない」という程度の数の概念による詐術であり、例えば松前藩がアイヌとの交易で用いた
数のごまかし=計数法の詐術*の類いであると言えます。
〈*
近世アイヌ民族の社会と生活 小林真人〉
さて次回は、このPCR法の原理を簡単に紹介します。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ21
<文/牧田寛>