日本初上陸を果たした中国大手カフェ「奈雪の茶」―「1杯900円」もする目玉商品、その味は?

ラオックスも「食特化」に――「日本の店は日本人向け」で生き残りを図る中国チェーン

 さて、中国企業といえば、この「奈雪の茶」が出店する免税店「ラオックス」も中国企業の1つだ。  ラオックスは2009年に中国の家電チェーン最大手「蘇寧電器」(現・蘇寧雲商)の傘下となって以降「日本国内最大規模の免税店」として全国展開を果たした。しかし、現在は新型コロナウイルスの感染拡大により業績が芳しくなく、店舗整理の真っただ中にある。
「閉店」「休業」が相次ぐラオックス

ラオックスは新型コロナウイルスの感染拡大により「閉店」「休業」が相次ぐ

 そうしたなか、この道頓堀のラオックス新店舗は「食」をテーマとして免税店の面積を削減。「奈雪の茶」以外にも、東京代官山の林檎飴専門店「キャンディーアップル」や心斎橋の苺スイーツ専門店「ストロベリーマニア」を出店させたほか、日本人向けの土産を多く取り揃えるなど、「免税店需要の減少」に合わせて従来の店舗よりも地元客・日本人観光客の取り込みを狙った店づくりとなっている。  ラオックスのような免税店、そして飲食チェーンを含めて、日本に進出した中国企業のなかには訪日・在日外国人の需要に支えられている店も多いが、今後は「日本人の内需」に応えられる企業でないと生き残りが難しいことは明白だ。奈雪の茶でも、高額なティーメニュー以外に「クリームパン抹茶」や、道頓堀店限定の「たこ焼きパン」など、200円~300円ほどの比較的リーズナブルなベーカリーメニューが販売されており、道頓堀という立地ゆえに今後さらなる「大阪ローカライズ」も期待されよう。
「ラオックス道頓堀店」の店内

「ラオックス道頓堀店」の店内。
免税フロアは一部のみで、スイーツ売場やイベントフロアが目立つ。

お土産コーナー

お土産コーナーのターゲットも「日本人」だ

 次々と上陸を果たしている中国資本の大手チェーン店たち。コロナ禍のなかでも日本市場に踏みとどまることができるのは、果たしてどの企業であろうか。

すでに確固たる地位を確立しつつある「メイソウ」

 中国企業は「変わり身が早い」のも特徴である。雑貨店「メイソウ」が2014年に日本初上陸を果たした際の印象は「怪レい日本语(怪しい日本語)」「安かろう悪かろう」であったが、世界大手となった今は「至って普通の便利な雑貨店」として、出店地域の地元客にも親しまれるようになった。  満を持して日本初出店を果たした「奈雪の茶」や、新業態の開発で生き残りを図る「ラオックス」の今後を含め、新型コロナ時代における海外チェーンならではの「新戦略」が注目される。
中国の雑貨チェーン「メイソウ」

「怪しさ満点」から「普通の便利な雑貨店」へと変貌を遂げた中国の雑貨チェーン「メイソウ」。
現在は日本国内の「イオン」に出店する店舗もある。

<取材・文・撮影/淡川雄太 若杉優貴(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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