日本初上陸を果たした中国大手カフェ「奈雪の茶」―「1杯900円」もする目玉商品、その味は?

 火鍋店「海底撈」、中華軽食「沙県小吃」、ラーメン店「馬子禄」、雑貨店「名創優品(メイソウ)」など様々な中国系の大手チェーン店が日本に進出している昨今であるが、この7月にまた新たな大手チェーン店が日本初上陸を果たした。  しかも、今回のチェーンも「中国式」をウリにしている訳ではなく、「メイソウ」のように一見すると「日本式」を思わせる名前や店づくりが特徴であるという。果たしてどういった店なのか――その店舗があるという大阪・道頓堀へと足を運んでみた。
「日本企業のロゴ」…ではないらしい。

「日本企業のロゴ」……ではないらしい。

中国大手ティーチェーン、メニューは強気の価格!

 新たに日本初出店を果たした中国の大手チェーンは、その名も「奈雪の茶(なゆきのちゃ)」。  奈雪の茶は2015年に中国・深圳で創業し、2020年時点では中国とシンガポールに約800店以上を展開するティー&ベーカリーカフェ。7月4日に開業した日本一号店・道頓堀店が出店したのは「くいだおれ人形」や「グリコのネオンサイン」近く、大阪・ミナミの一等地にある「ラオックス」の1階エントランスだ。  店舗を訪れたのは開店から1週間ほど経った日。道頓堀は新型コロナウイルス感染拡大に影響により通常時よりも少し通行量が少ない状態であったものの、店頭には軽く列ができており、早くも盛況のようだ。店構えは至って普通の「ティーカフェ」で、店の内外には思わず写真に写したくなる「インスタ映え」するアイテムが置かれるなど可愛らしい雰囲気。雑貨店「メイソウ」が上陸したときに感じたような、怪しい翻訳があふれる「うさんくささ」は感じられず、客の多くは中国企業とは知らずに訪れているようだった。
ラオックス道頓堀店

「奈雪の茶」が出店するラオックス道頓堀店。
大阪・ミナミの一等地にある。営業時間は11時~20時

 列に並ぶとメニューが渡されるが、その価格帯の高さに驚かされる。多くのティーメニューが700円前後で、多くの看板商品は800円台もする。ちなみに、800円台の商品は中国の店舗でも日本円で約500円ほどするようで「日本だから極めて高い値段設定」という訳ではなさそうだ。列に並びつつ周りを見渡すと、日本人客のほかに中国から来日している留学生とおぼしき客も見られた。 カウンターの接客は一般的な日本のティースタンドと変わらず丁寧。もちろん日本語も通じるし(余談ではあるが、首都圏の中国系飲食チェーンに行くと日本語が十分に通じない場合があったりもする)、クレジットカードや電子マネーで支払うことも可能だ。
「奈雪の茶」の注文カウンター

「奈雪の茶」の注文カウンター。オシャレで清潔感がある店構えだ。
比較的広々としており、余程の混雑時でないならばソーシャルディスタンスも保たれる

 今回は看板メニューである「大紅袍烏龍タピオカミルクティー(コールド)」を味わってみた。  大紅袍とは中国の高級茶のことらしく、値段も驚きの1杯880円(税込)。もはや「定食1食分」のお値段だ。
大紅袍烏龍タピオカミルクティー

文字通り「看板メニュー」の大紅袍烏龍タピオカミルクティー、800円+税。
タピオカミルクティーとしては結構なお値段

「映え」るポップなデザインのカップ

 ほどなくして店員から商品が渡されると、独特でポップなデザインのカップに目を奪われた。これはイラストレーターのクリストファー・デービッド・ライアン氏がデザインした「Big Hugs」というキャラクターで、5月20日の「我愛你の日」を記念したものだという。開店時には店の内外がこの「Big Hugs」で飾られており、一緒に記念撮影をする女性客もみられた。
「Big Hugs」

「Big Hugs」で飾られた奈雪の茶の店頭

 肝心のタピオカミルクティーの味は高級茶を使っているだけあって「しっかり」とした濃いめのお茶の味を感じることができる。それ以上に香りがいいのが、クリームの上にまぶされたココナッツだ。タピオカはいかにもタピオカらしいニュロンとした食感ながら、格安ファーストフード店とは違い少し固めで、黒糖の豊かな風味が楽しめる。なお、ホットメニューも用意されているため、「柔らかめ」のタピオカが好きな人はホットに挑戦してみるとよいだろう。
「Big Hugs」がデザインされたカップ

「Big Hugs」がデザインされたカップ

「中国企業」と聞いて少し身構えたものの、「中国らしさ」が感じられるユルい面といえば、事前にチェックしていた出店時のニュースリリースにあるメニューと値段が違う商品が目立ったくらい。あとは「道頓堀」という庶民と観光客の町で、顧客がこの「強気な価格帯」について来れるかどうかが成功のカギであろう。ひょっとしたらニュースリリースと店頭での価格差も、店による「試行錯誤の結果」であるのかも知れない。  ちなみに、価格もあってか「カップ」自体も一般的なティーショップよりもかなり立派。持ち帰って再利用してみてはどうだろうか。
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中国資本も「日本の店は日本人向け」戦略へ
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