緊急執筆! 地方新聞の一面を飾る「検査をすると患者が増える」エセ医療デマゴギーの実例

医学系では起こりえる誤りだが放置してはいけない

 冒頭筆者は、医学は科学ではないと記しました。もちろんこれは医学という高度な技能学術大系を客観的に示したもので、実際に学位も違うものです。勿論、貴賤優劣は一切ありません。  但し、今回のPCR検査についての誤ったベイズ推定を用いたエセ医療・エセ科学デマゴギーが東大・保険センターを見れば分かるように日本の医学界を深刻に汚染してしまったことは事実で、基本的な科学的手順、「自分で計算してみる」、「事実と照合する」という歯止めが全く効かなかったことは本邦医学教育の深刻な欠陥を露呈しています。  今すぐ医学界がすべきことは、今迄散々医師会などがばら撒いてきたPCR検査について誤ったベイズ推定を根拠としたエセ医療・エセ科学デマゴギーについて全てを隠すことなく社会に全面謝罪の上で撤回することです。  一部の地方医師会では三役の公職からの辞任ほか、重い責任の取り方は必須と考えられます。今回は名指ししませんが、散々誤ったベイズ推定を根拠としたエセ医療・エセ科学デマゴギーを大量に流布しながら6月になるとコッソリ全ての文書を消してしまった医師会もあります。筆者は全文の保存をしています。その医師会を原点として多くの県市町村にエセ医療・エセ科学デマゴギーが根を張り、地方の医療行政を深刻に汚染しています。この責任は重大です。大勢の人の命を脅かしています。検査拒否による医療ネグレクトで死んだ人がいるかもしれません。  今回の信州大学医学部発の誤ったベイズ推定を根拠としたエセ医療・エセ科学デマゴギーにおいては、県内に独自の説明資料を配付するとしており、深刻なエセ医療・エセ科学デマゴギーの拡散が進行しつつあります。それによって市民が犠牲になるだけでなく病院は院内感染の危機に見舞われます。

メディアの責任も重大

 これまでに医学系とは全く関係のない筆者が、自分で計算し、自分で文献、統計を調べることによってジャパンオリジナルPCR検査抑制エセ医療・エセ科学デマゴギーの真相をひん剥いてきました。  落ち着いて手計算でも暗算でもすれば、だれが考えてもおかしいと気づく計算結果を基にしたエセ医療・エセ科学デマゴギーが本邦を大切な6ヶ月間汚染し尽くした結果、本邦は、世界でも珍しい大規模な第一次第二波パンデミック(前々回参照)に見舞われています。  東部アジアと大洋州を守る謎々効果(前々回参照)により死者こそ「今のところは」少なくて済むでしょうが、COVID-19の後遺症は軽症者でも深刻であることがわかり始めており、患者のQOL(Quality of Life)を下げるだけでなく社会全体の機能不全とそれによる関連死が本邦を痛めつけてゆくことになります。  この本邦に甚大な打撃を与えるジャパンオリジナルPCR検査抑制エセ医療・エセ科学デマゴギーは、だれでも簡単に検証できることですし、検証すれば非常におかしな論であることは誰の目にも自明です。  何故このようなエセ医療・エセ科学デマゴギーがメディアで罷り通ってきたのでしょうか。そこに批判も検証も報道もありません。あるのはデマゴギーの広報のみです。  計算方法は東大保険センター他が公開しており、計算は暗算でも可能です。エクセルを使えば様々に変数を振って容易に検証ができます。事実は統計情報として全世界から即座に得られます。  それほどに荒唐無稽なエセ医療・エセ科学デマゴギーが半年も本邦を席巻し、人を苦しめ、殺してきた可能性も高いのです。  中には、PCR検査拡充にお金を使いたくないという国の広報の末端としてこの荒唐無稽なエセ医療・エセ科学デマゴギーに関与してきた媒体もあるかもしれません。しかし、多くのメディアはそのようなことはないと思います。  特に科学・医療報道に携わる方々は、本誌にて添田孝史氏が厳しい論考をしていますので一読の上で、今からでも遅くはありませんから、行いを改めていただきたいです。  今回はこれまでです。次回は前回の続きとなります。 ◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ18 <文/牧田寛>
Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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