都立高校のツーブロック禁止問題。「人は見た目によらない」の真偽と問題の本質

混乱を招く謎の校則

 以前、紹介した「割れ窓理論」のように、見た目によって印象が変わると、自分の扱われ方や、それに伴って集まってくる人のタイプも変わるだろう。  ツーブロックを禁止するという教育長の言い分に不満が出るのは無理もない。だが、心理的に見た目が周りの人の考えに影響を与えるのも「真実」ではある。もちろん、何も定義づけなしに一律禁止というのに疑問は残るが、もしかしたら教員側は間接的な方法で事件や事故から生徒を守っていると言えるかもしれない。  ただ、それが因果関係が不明確だったり、現場の教職員が、そのルールが存在する理由について生徒に説明ができず、ルールを押しつけることになってしまうのだ。  そういう状況を打破するために、池川議員はある提案をしている。それはTwitterにアップされた動画には含まれていないが、それこそが池川議員が言いたかったことの本質なのではないだろうか。

本質はルール作りの仕組みにあった

 池川議員の一連のツイートや予算特別委員会での答弁を確認すると、言いたいことの本質は「ツーブロックがダメなのはおかしい」のではなく、「校則は生徒と保護者の声を聞いて決めるべきだ」ということのようだ。  ツーブロックが良い・悪いというひとつのルールにフォーカスしたいのではなく、そのルールが作られていくプロセスを見直す必要性があるという社会問題にフォーカスしている。校則はどのように具体化するかは学校に任されているのだから、そのような運用をするように変化させることも可能なはずだ。  【参考資料】  人は見た目が9割』竹内一郎・新潮新書 <文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会