「生活が苦しい。助けて欲しいけど周りに知られたくない」……公的支援から取り残される親子をサポートする「こども宅食」の取り組み

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困窮家庭の8割がコロナによる生活苦を実感

 経済的に苦しい家庭に対し、食を通じた支援活動を行う「こども宅食応援団」(※)は今年5月、こども宅食を利用する家庭に対し、「新型コロナウイルスの影響に関するアンケート」を実施。同調査に協力した約1000世帯のうち約8割が「生活が苦しくなった」と答えた。  回答者の属性は「年収300万円未満」が約9割と突出しており、世帯構成では「ひとり親」が目立つことから、経済基盤が脆く、育児の担い手が少ないこれらの層がコロナ禍の打撃を特に受けている状況が浮き彫りになっている。  生活に困ったとしても、行政は様々な支援制度を整えている。しかし、「自治体の窓口で相談している」と答えた人の割合は19.6%にとどまっており、制度は活用されていない。苦しい思いをしている人たちが「助けて」と言わない理由は何か。こども宅食応援団としてそうした人たちにどのようなアプローチを取っているのか。事務局の今井峻介さんに聞いた。 (※)こども宅食は、経済的に厳しい子育て家庭に食品のお届けを通じて繋がりをもち、必要なときには支援に繋げる見守り支援。こども宅食応援団は、全国各地にこども宅食を広めるためノウハウ提供や実施団体のサポートを行う団体。

ひとり親の不安「感染や失業に怯え、夜も眠れない日がある」

 調査によると、収入減よりも支出増によって生活が苦しくなっていることがわかる。休校や休園の影響で食費・光熱費が上昇したためと思われる。支出増または増加見込み額の割合では「2~4割」が一番多かった。これは仮に月20万円で家計をやりくりしている世帯の場合、ひと月あたり4~8万円に当たり、家計への影響は大きい。  今井さんは「これまでなんとか乗り切ってこられた家庭に新型コロナウイルスによる収入減や支出増が加わり、苦しい状況を生み出している」と現状を見る。  回答者からは「生活が苦しい」といった悩みのほか、「ひとり親」ゆえに直面する不安も寄せられている。 「たとえば、『ひとり親なので感染したり、濃厚接触した場合には仕事を休む必要があり、生活費が足りるのか心配です。また隔離場所はどうするのか、誹謗中傷の対象にならないか不安です』といった声が挙がっています。こういった悩みは、ふたり親には想像しにくい面があります」(今井さん)  新型コロナウイルスによる失業に怯え、経済的な不安を一人で抱えこみ「夜も眠れない日がある」と答えた人もいたという。
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「生活に困っている」と言いにくい社会
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