6月9日、衆院予算委員会で、立憲民主党・枝野幸男代表が質疑の場に立った。前半、安倍政権のコロナ対策が、ほぼ野党が提案をし、政府が後追いをしてきただけの後手後手の策だったことや、PCR検査拡充の遅れ、給付金などの遅れを指摘。各担当大臣とのやり取りを行った。
そして後半。安倍総理との一騎打ちとなった。
安倍総理との一騎打ちで彼が一貫して語ったのは、自身が先月発表した政権構想をもとに、「ポストコロナ」政治のあり方だ。ことあるごとに「悪夢のような民主党」などと言われ続け、安倍政権のさまざまな悪法も数の論理で通され辛酸を嘗めてきた枝野氏は、ポストコロナの日本の政治のあり方として真っ向から新自由主義の世界にNOを突きつけたのだ。
それはあたかも、新自由主義的な「レーガノミクス」やタカ派的な外交姿勢などの「強いアメリカ」路線が大衆受けしたことで苦戦を強いられていた米民主党時代のある演説を思わせるものだった。
それは、現NY州知事のアンドリュー・クォモの父である故マリオ・クオモによる1984年の民主党全国大会での基調演説だ。〈参照
「今の日本」だからこそ聴きたい、故マリオ・クオモ元ニューヨーク州知事の演説、
新自由主義を否定し、「リベラリズム」を復権させたクオモの言葉|ともにHBOL〉
新自由主義を否定し、「リベラリズム」を復権させたクオモの演説を彷彿とさせる枝野氏の質疑とはいかなるものだったのか?
その一部始終を全文書き起こしした。
また、動画は
Makabe Takashi氏のYou Tubeチャンネルでも公開されている。
枝野幸男代表(以下、枝野):政府の対策がおくれてきて対象も規模も常に小さくなって後手後手に回っている原因は、危機で明らかになった社会経済やあるいは政治行政の実態を直視することなく、場当たり的に進んできたことに原因があると私は思います。長期戦になるかもしれない目の前の危機に対して、迅速、適切に対応してこれを乗り切るためにも、また、この危機の先にあるいわゆるポストコロナ社会を切り開いていくためにも、この危機によって明らかになった現実を我々は直視するべきだというふうに思っています。
2枚目のパネルをお願いします。
一つは、この間、目先の効率性や自己責任が強調され、競争ばかりが煽られてきた、いわゆる
新自由主義的社会が脆弱であることが明らかになったと思っています。世界最高と言われていた日本の医療が、感染者の急増で崩壊寸前まで追い込まれました。多くの医療機関が、現時点で深刻な経営危機に瀕しています。人口当たりのPCR検査の実施数も他国と比べて決して多くありません。この間、医療も効率化の例外ではなく、医療機関の統廃合や病床数の抑制などが進められてきました。その弊害が今回如実にあらわれていると思います。
医療だけではなく、介護や保育、障害福祉、放課後児童クラブなど生活に不可欠なケアサービス、これが感染症危機のもとで大変厳しい状況に追い込まれました。
関係者の献身的な、そして使命感に頼ってようやく維持されているという現場が山ほどあります。これらは、需要増大に応じたサービス供給体制の整備が後回しになり、特に、そこで働いている皆さんの賃金、労働条件が低く抑えられてきた。その結果、従来からサービス不足、人手不足が言われてきた、そこがやはりこういう危機のときには1番弱い、脆弱さがあらわれています。
目の前の危機を乗り切るためにも、ポストコロナ社会に安心できる社会をつくり上げるためにも、1つには、医療供給体制を減らしてきた流れを明確に転換する、その方針を明らかにすべきであると私は思います。また、看護師さんなどや、介護、保育、障害福祉、放課後児童クラブなどに従事する方々の労働条件や賃金を引き上げるという明確な方針を今示すべきであると思います。これを、1点目、後ほどまとめて聞きます。