ポストコロナの日本の政治はどうあるべきか? 6月9日衆議院予算委員会で立憲民主党・枝野幸男代表が示したこと

安倍総理は枝野氏の問いかけにどう答えたか?

安倍晋三総理大臣:お答えをさせていただきます。まず、地域の医療提供体制について御質問があったと思います。  少子高齢化が急速に進む中で、地域の医療ニーズの変化に合わせた地域医療提供体制を確保するため、地域医療構想を始めとした医療提供体制改革に取り組んできました。  今般の新型コロナウイルス感染症への1連の対応を踏まえまして、今後の医療提供体制のあり方の検討に当たっては、危機管理への対応力の向上ということも1つ重要な視点であると認識をしており、地域の実情もよく踏まえつつ、感染症対策も含めた、必要とされる医療提供体制の議論を地方自治体等と連携して進めてまいりたいと思います。  また、医療や介護等に従事する方々の勤務環境や処遇の改善は大変重要な課題であると認識をしておりまして、これまでも、介護職員等について、累次の処遇改善に加えて、昨年10月からは月額最大8万円のさらなる処遇改善を行うとともに、保育士等については、平成2105年度以降、月額最大8万5千円の処遇改善を実施するなどの対応を行ってきているところでございまして、政府としては、引き続き、医療や介護等に従事する職員の勤務環境や処遇の改善に向け、必要な支援に努めていく考えでございます。  そしてまた、農林水産業についてでございますが、新型コロナウイルス感染症については、国内的には需要の減少や価格の低迷が我が国の農林水産業に大きな影響を与えている1方で、国際的には、1部の食料輸出国が穀物等の輸出制限を行い、食料供給をめぐるリスクを高めています。現時点で穀物等の需給に影響はありませんが、どのような状況下にあっても国民に対して食料を安定的に供給することが国に課せられた重要な責務であります。  このため、安倍内閣においては、地域の農林水産業の稼ぐ力を向上させる産業政策と農山漁村に活力を取り戻す地域政策、これを車の両輪として国内生産基盤強化を総合的に実行してまいりました。 加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の発生を契機に、輸入農畜産物から国産への切りかえや、不足時にも対応できる生産供給余力の向上等にもしっかりと取り組んでいく考えでございます。  そしてまた、公務員の人数は、業務量に応じて合理化すべきところは削減する一方、重要な政策に係る体制については重点的に増員するなど、めり張りをつけて行うものであります。そもそも、安倍政権として、単に公務員を減らせば改革であるというふうには考えていません。 その上で、今般のコロナ対応で明らかになった課題も踏まえつつ、引き続き、行政ニーズの変化に対応した組織の不断の見直しを進め、さらに、部局間の連携や行政のデジタル化にも取り組むことで、強靱かつ効率的な行政システム体制を確立をしてまいりたい、こう考えています。 そして、いわば行政について、我々がいわゆる新自由主義的な考え方のもとに小さな政府をひたすら追求しているのかといえば、それはそんなことはないということはまず申し上げておきたいと思います。行政は皆さんからいただいた税金で運営されている以上、効果的かつ効率的な組織体制を追求するのは、これは当然のことであります。こうした観点から安倍政権として行財政改革に取り組んできたところでありまして、行政は小さいほどよい、民間、市場に任せればよいといった一律の考え方ではないということは改めて申し上げておきたいと思います。 他方で、急速な情勢変化やそれに伴う流動的な状況のもとで、全ての業務を行政に担わせることには一定の限界があることもまた事実でありまして、その上で、今般の新型コロナウイルスへの対応に当たっては、政治の責任として、国民の命と健康、事業と雇用を守り抜くことを最優先に、これまでにない、思い切った措置を講じてきたところであります。  その中で、国や自治体の職員の方々には、これまでも、そして今も、全力で対応に当たっていただいています。そして、国民の皆様にも多大な御協力をいただいた結果、人口当たり感染者数や死亡者数も、主要な先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている、このように思います。  他方、今般の対応を通じて、保健所の業務過多等によるPCR検査の目詰まりなど、見えてきた課題もあるわけでありまして、今は感染拡大を収束させることが最優先でありますが、その後は、しっかりと検証を行いながら、国民の期待に応えることができる体制を構築していくことが、政治に課された大きな役割だと考えております。 枝野:残念ながら、この感染症の危機が生じる前の話をなでられているだけだと思います。私は、先ほど言った考え方に基づいて、過度な自己責任社会から互いに支え合う社会へ目先の効率性に拘泥する経済から未来志向の分散型経済へ、こうした社会と経済をつくれる、行き過ぎた小さな政府と政府不信から脱却できる、信頼できる機能する政府を次の総選挙の後につくる、そのことを国民の皆さんにお約束をして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。 <文・文字起こし/HBO編集部>
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緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」

不信任案決議の趣旨説明演説をおこなったのが、衆院で野党第一党を占める立憲民主党の代表・枝野幸男議員である。この演説は、その正確さ、その鋭さ、そして格調の高さ、どれをとっても近年の憲政史にのこる名演説といってよいものだ。

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