ポストコロナの日本の政治はどうあるべきか? 6月9日衆議院予算委員会で立憲民主党・枝野幸男代表が示したこと

効率化優先の一極集中、過度な国際分業、小さすぎる行政

 2つ目に、非正規雇用など不安定な働き方がふえたことで、雇用調整助成金などによる雇用の維持が10分に機能していません。最低限の暮らしを営むという意味で極めて脆弱な社会になっていることが明らかになりました。しかも、厚生労働省の国民生活基礎調査だと、この10年で貯蓄ゼロ世帯は10・5%から15・7%へと急増しました。貯蓄ゼロですから、仕事を失ったら直ちに食べられなくなるんです。住まいを失うことにもつながるんです。  さらには、効率化を求めて進んできた一極集中や国際分業、大きな弱点をはらんでいることが明らかになりました。都市の過密は明らかに感染症には脆弱です。マスクや防護服など、国際分業の行き過ぎで一時的とはいえ必要物資の不足を招きました。多くの皆さんが不安を抱いています。これまでのところ、幸いなことに食料とエネルギーについての混乱はまだ生じていませんが、もし今後、途上国などを中心に感染拡大が続いた場合には、世界的な食料不足のおそれが生じると危惧しています。  2つ目に、過度な国際分業と都市一極集中の弱点が明らかになった中、速やかに、目先の効率性に左右されない1次産業、そして農山漁村政策への転換が求められていると思いますが、いかがでしょうか。  2つ目に、小さ過ぎる行政の脆弱さが明らかになりました。  官から民へ、民間でできることは民間で、こういうスローガンに振り回され、危機に対応できない小さ過ぎて脆弱な行政になっています。  現場は少ない人員で頑張ってきましたが、保健所を減らし、職員を減らし過ぎてきた結果として、PCR検査に至るプロセスに目詰まりが生じたのではないでしょうか。自治体職員を減らし非正規化を進めてきたにもかかわらず、この定額給付金10万円の手続を自治体に丸投げし、現場を疲弊させ、手続のおくれを招いてきたんじゃないでしょうか。  縦割り行政の中で、自前では処理できない業務であるにもかかわらず、既存の体制で進めようと、つまり自分の省内で処理しようとするから、外部に丸投げをし混乱を招いた持続化給付金の問題が生じたんじゃないですか。  感染者情報はつい最近までファクスでの報告が求められていました。オンラインで感染者情報を集約するシステムの構築に手をつけたのは5月に入ってからですね。いまだに十分に機能しているという話は聞きません。定額給付金では、マイナンバーが役に立たないどころか、自治体の事務処理に混乱をもたらしました。雇用調整助成金に至っては、オンライン申請を始めたのはいいけれども、初日にバグって機能が停止し、いまだに回復できていないじゃないですか。  公務員を減らせば改革だという30年前の時代遅れの発想を続けてきたこと、これが今さまざまなところの問題を噴き出させているんじゃないでしょうか。必要なのは、公務員の数を減らすんじゃなくて、適切な部局間の連携支援を行って、そして、電子化も、国民に何かを求めるんじゃなくて、行政の内部における電子化やオンライン化、これこそが必要なんじゃないでしょうか。これを3点目としてお尋ねを申し上げます。

自己責任や目先の効率性では命は守れない

 最後に、国民の皆さんにも呼びかけたいというふうに思います。  新型コロナウイルス感染症危機の中で、自己責任とか目先の効率性を強調していたのでは、自分や大切な人は、命は守れません。このことが明らかになりました。自分以外の全ての人に協力してもらわないと感染拡大はとまらず、結果的に自分たちの命も守れません同時に、自分の感染リスクを少しでも小さくしようと行動することが、自分のためだけではなく、社会全体の感染拡大を防ぎ、他の全ての人の命を守ることに繋がる、このことを私たちは知りました。社会はこうした互いの支え合いによって成り立っていることを私たちは再確認するべきであるというふうに思います。  その上で、大切なことは、支え合いのために生じるリスクとコストが著しく偏っていることなんです。  リモートワークでステイホームが可能な方がいる一方で、最も高いリスクの中で尽力いただいている医療従事者などを先頭に、ケアサービスの皆さん、物流、小売、旅客運送など、あるいは警察などを先頭に多くの公務労働、リスクがあっても欠かすことができない業務に従事する人がいて社会は成り立っている。  多くの人は減収となっていますが、それでも、この中で実は増収になっている方も一部にはいます。一方で、観光産業や飲食関連、そして、同僚議員が聞きますが、文化芸術など、影響が特に大きく、経済が回復してきてもなかなか影響は長期にわたるのではないかということで、負担も人によって大きな違いがあります。それでも、それぞれの皆さんにできるだけのことをやっていただかなければ、そしてそれが可能な状況にしなければ、この感染症を乗り越えることはできません。  ですから、このリスクやコストを平準化すること、つまり再分配することこそが政治の最大の役割。本来、私は平時から常に、再分配をすること、リスクやコストを平準化することこそが政治の最大の役割であるというふうに思っているし、それができるのは政治だけです。  政治がリスクやコストの平準化、再分配の役割を積極的に果たすことが求められているのではないか、そのことを、総理、今の3点、そして最後の1点、お尋ねをして質問を終わります。総理、いかがでしょうか。
次のページ
枝野氏は安倍総理、そして国民に何を問うたのか?
1
2
3
緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」

不信任案決議の趣旨説明演説をおこなったのが、衆院で野党第一党を占める立憲民主党の代表・枝野幸男議員である。この演説は、その正確さ、その鋭さ、そして格調の高さ、どれをとっても近年の憲政史にのこる名演説といってよいものだ。

PC_middleRec_left
PC_middleRec_right
関連記事
PC_fotterRec_left
PC_foterRec_right