化石燃料を使う前からの「大地のかく乱」が温暖化につながった
炭素豊かな土壌に、地球温暖化解決の方法を見つけた。それは、
「4パーミル(0.4%)の炭素を土壌に」というものだ。
知っている人なら、フランスがパリ議定書の際に提案したアイデアだとわかるだろう。
今ある耕作地の土壌に、毎年0.4%の炭素を加えるだけでいい。
それだけで、全世界では
毎年大気に放出される二酸化炭素の75%を固定することができるのだ。
しかしこの提案を多くの人は知らない。なぜなら地球温暖化の話では、ほとんど農業の話など関係ないと思われているからだ。だが
地球上の大気の炭素分の約半分は土壌から放出されたものなのだ。
人間が大地を壊し、土地に蓄えられていた炭素を大気中に放出させてしまったのだ。
地球温暖化と言えば「化石燃料の燃焼」の問題だと覚えてきたが、実はそれ以前からの大地のかく乱の影響のほうが大きかったのだ。
そうなると、対策ももっと抜本的な考え方の変換が必要になってくる。今のままただ化石燃料を使わなくなるだけでなく、
「土を大切にする」地球温暖化対策が必要になる。FAO(国際連合食糧農業機関)の地図には、世界の土壌がどれほど壊されたかが示されている。
それを見ると、日本は意外と「安定地域」となっている。しかし、世界的に見ると地球の土壌の荒れ方が惨憺たるありさまだ。確かに振り返ってみると、
世界中でのエネルギーの無駄な利用以前に、世界各地での土壌流出や劣化、農地の荒廃は語られていた。それが実は、大きな地球温暖化の原因となっていたのだ。
土というのは無機物と有機物との混合物で、生命を育む「母」だった。
それが戦後に広がった化学肥料の洗脳の中で、ただの無機物のように扱うようになっていたのだ。土を有機物のように考えると、そこにはたくさんの微生物がいて、その豊かさに支えられて作物が育ち、消費者と呼ばれる動物たちが生きられる。
いわゆる化学的な「窒素、リン酸、カリウム」だけでは植物は育たない。植物は根の周囲の菌類や微生物との共生によって、根の張った広さの7倍の範囲から栄養分を集めていると言われている。その菌や微生物たちに栄養を届けるために、根から水溶性の炭素や糖分などの栄養を届けていたのだ。