——身近なテーマのほうが、一般のリスナーは入りやすいのかもしれないですけどね。
RAW:「ただ、それは
俺らが思ってる劣等感じゃないんですよね。学歴もねえし、カネもねえ、と。でも、『
本当にカネがねえって、どういうことかわかるかお前ら?』っていう。それがみんな本当にわかってないんで、そういうヒップホップに喰らってるんすよ。『
本物に喰らわないなら、カネを落とすな』っていうのが、俺の持論です」
正社員:「怖すぎる(笑)。
俺の仕事、何もできねえじゃん!」
RAW:「(笑)。本当に『
ヒップホップ』っていうのはそういうもんなんですよ。ただ、『
ラップミュージック』っていうのはまた違う。吉田くん(MC正社員)の例で言うと、
ラップに対しては戦極みたいなイベントをやって還元して、
ヒップホップに対してはその人選で還元してる。だから、ヒップホップにはあまり還元してないんだけど」
正社員:「どんどん俺の仕事をしにくくするんじゃないよ(笑)」
RAW:「まあ、日本語ラップ、ジャパニーズのなかに、最初バンッとフリースタイルの文化を打ち出したのは違う人たちだけど、それを継続して定着させたのは、吉田くんなんじゃないですか」
——文化やジャンルを表す言葉の意味を定義するのは難しいですよね。
RAW :「
USの現行のヒップホップと日本のヒップホップはまったく違うんで。『
ゲトー』っていう意味も、『
ギャング』っていう意味も違うし。こないだも、とあるラッパーに『お前が吸わしてくれたネタマジでクソだった』みたいなこと言ってる奴がいたんですよ。向こう(アメリカ)だったら数日後にその
仲間が襲いに来たりするじゃないですか」
——たしかにシャレじゃ済まないでしょうね。
RAW:「
日本は文化的にも政治的にも、そこまで怒りがデカいことってなかったですからね。だから、
平和ボケしてて、暴力的なことも起こらなかった。ただ、
今はどんどん文化も変わって、外国からも人が来てる。100年後ぐらいには国がスゴい変わるって言われていますよね」
はたして、ヒップホップシーン、そして日本の未来はどうなるのか。MC正社員とRAWAXXXの対談、次回はお茶の間を巻き込んだフリースタイルブームについて語ってもらう。
<取材・文/HBO編集部>