感染者数世界ワースト5のスペイン。「パンデミア」による都市封鎖の中の暮らし

スペイン人の人生である「バル」も全面休業だった

 スペイン人のLifeの一翼を担っているバルはつい先日まで全面営業停止だった。2か月近く売上がゼロというのは経営者にとって深刻である。アルバラは3800人の町であるが、日本の同規模の町と比較して遥かに活気がある。バルも11軒ある。それがすべてシャッターを下ろしていたのだ。先週からバレンシア州はステップ1となってバルも路上に通常の50%のテーブル数で営業開始している。しかし、当町のまだ2軒のバルは閉まったままだ。稼ぐことに焦らない一方で、50%の路上でのテーブル営業だけでは赤字になるからである。  筆者は封鎖が開始される前はいつも早朝に速足(競歩までのスピードではない)でグランビアを3往復して2.5キロを速足で歩き、その後ストレッチ体操をしていた。封鎖が開始されてからはそれを家でやることにした。家の廊下を行ったり来たり、途中キッチンにも入り、毎日1.8キロ程度に相当する距離をいつもの速足よりも幾分遅いペースで室内歩行を実行していた。そのあと1階から3階まで36段の階段を上下3往復していた。5月1日まで休んだ日は一日もない! 2日からは野外でスポーツができるようになり、筆者はグランビアに戻っていつもの運動をしている。  買い出しは筆者がやることにしている。家内は封鎖開始から現在まで一度も外出していない一度もだ

高齢者の持病持ちは、必然的に用心深くなる

 今日までの感染者23万5000人、死者2万7000人。但し、死者は統計に含まれていない人がおよそ1万人いるのは公然の事実となっている。即ち、4万人近くが僅か2か月で武力戦争ではなくウイルスに感染して死亡したというのは筆者も含め多くのスペイン人の心境に複雑なものをもたらしている。それに感染するのではないかという恐れも加わっている。勿論、例外もあって多くの若者はそれを気にしていないようだ。  特に、筆者のように気持ちは若いが年齢的に高齢者とされ、持病持ちはコロナ・パンデミア(パンデミックのスペイン語)の前により慎重になる。だから不要不急の外出は慎むようになってしまう。アルシラにあるスーパーカレフールには時々買い物に行っていたが、封鎖が開始されてからは一度も行っていない。入口で前と後ろ2mくらいの距離を置いて列に並んで順番に中に入る気持ちにならない。店舗が広いので買い物客も当然多い。だからコロナウイルスに感染しているが症状のない人がいる確率もより高くなると考えて行くきが気がしない。また、スエカに入るところにも比較的大きなスーパーメルカドナがあるが、そこまでまた車で行く気もしない。このスーパーは人気があるのでいつもお客が良く入る。同じように多くの人が作る列に入って中に入るまで待つのは御免だ。  そんなことで、筆者は当町のこじんまりしたスーパーチャルテルで食材を購入している。カレフールそしてメルカドナと比較して価格は品物によって僅かに高いものもあるが感染率はより低いと考えて僅かの価格差は気にもせず受け入れている。  また、モロッコ人が経営している八百屋2軒とスペイン人の八百屋1軒でも買い物をしている。八百屋は店内のスペースの関係で一度に中に入れるお客は2人か3人だ。チャルテルも入場を制限しているが、そこでは最高15人くらいが限度なのか、よくわからない。店員はファイスシールドにマスクだ。感染の危険を承知で良く働いている。
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便乗値上げもなく物資が豊富なのは救い
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