感染者数世界ワースト5のスペイン。「パンデミア」による都市封鎖の中の暮らし

Albalat_de_la_Ribera

筆者が住むアルバラ・デ・ラ・リベラの街 photo via Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

パンデミアによる封鎖の中で生活している筆者

 スペインで非常事態が発令されたのは3月14日土曜であった。それから本稿執筆時点の5月26日まで封鎖が2か月半続いている。  封鎖は段階的に解除されており、バレンシアはステップ0からステップ1に移っている。2大都市マドリードとバルセロナは5月25日からステップ1に入った。ガリシア地方などはステップ2に入っている。  ステップ1とステップ2の違いはバルやカフェテリアを例に挙げると1は路上でのテーブルサービスが平常の50%が可能だが室内での営業がまだできない。仲間の集まりも最高10人まで。ステップ2になると路上と室内のでサービスが平常の40%まで可能で15人まで一緒に集まることができる。商店街モールも40%まで営業可能だ。ステップ3になればこの制限もさらに大幅に解除されることになる。  いずれにせよ、当初の政府プランは6月末で封鎖を全面解除する意向だが、企業からの圧力で解除の時期は早まるはずだ。何しろ、ひと月商活動が停止するとGDPが2%後退に繋がるとされているからだ。

「自粛」ではなく「外出禁止」

 筆者が1978年から住んでいるのはバレンシアから地中海沿岸に沿って西に36キロ離れた人口3800人の町アルバラ・デ・ラ・リベラ(略称アルバラ)に住んでいる。日本のように市町村の区別がないので、筆者は日本の方にはいつもアルバラを町と呼んでいる。役場には古い文献として1704年のものがある。  当町から地中海の方に6キロ離れた所にパエーリャ国際コンクール開催で有名な人口2万7000人のスエカ市がある。毎年9月に開催されるこのコンクールには日本から必ず参加者がいる。アルバラからスエカとは180度反対の方に6キロ向かうと同じく人口2万7000人のアルヘメシー市がある。アルバラから更に内陸6キロ先には人口4万5000人のアルシラ市がある。アルシラを中心にして10キロ四方は10万人の商圏となっている。また、アルバラから車で地中海の方に向かって20分先にはこの地域で最大のリゾート地クリェラ市がある。人口2万1000人だが、夏場になると観光客の訪問で人口は5万人近くまで膨れ上がる。特に、ビーチがある区域は冬場は2000人くらいが住んでいるのが、夏場は人口は1万人を超すほどになる。  筆者はこのような地理的位置に住み、今回の封鎖を経験している。3月14日から外出が一切禁止された。自粛ではなく、外出禁止だ。見つかれば罰金何度も警察から忠告されて無視すると刑務所に送られることになっている。唯一外出が許可されているのは食料品店、薬局、たばこショップ、キオスクに行く時だけである。
次のページ 
バルも全面休業。日課の散歩も室内で
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会