コロナ消毒で注目される「キッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム)」。その効果と注意点を化学者が解説してみた

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Michael TavrionovによるPixabay

強力だが使用上の注意を要する次亜塩素酸類

 前回は、消毒法のうち石鹸など界面活性剤と高濃度アルコールについてご紹介しました。今回より、アルコール消毒に向かない水回りや、患者の吐瀉物(としゃぶつ、要するにゲロ)などの消毒に使われる次亜塩素酸ナトリウムと、一般に次亜塩素酸水として販売されている次亜塩素酸について、アルコールの代わりに使う人がSNSやブログなどネットでは目につきますのでその妥当性について論評します。  次亜塩素酸類は、体内に取り込むとたいへんに有害で命を落とすこともあります。またクエン酸以上の強酸と混ぜると塩素ガスを発生し、家庭で命を落とす痛ましい事故が何度も発生しています。これら次亜塩素酸類の性質と取り扱い上の注意については、過去記事(12をお読みください。  いつも書いていることですが化学薬品は、我々人類に清潔で快適な生活を提供しますが、使い方を誤ると簡単に人を殺す両刃の剣です。

とっても安価でチョー強力、幾らでも手に入る次亜塩素酸ナトリウム

 次亜塩素酸類として広汎に流通しているものは、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸カルシウムです。前者はキッチンハイターとして、後者はさらし粉として一般に流通しています。水道やプールの消毒には次亜塩素酸カルシウムが昔から使われます。次亜塩素酸の殺菌能力は次亜塩素酸イオンClO-次亜塩素酸HCIOが担っているとされます。次亜塩素酸ナトリウムの場合、pH9 でほぼ完全電離していますので、溶液中に存在する有効塩素は、ClO-です。  次亜塩素酸ナトリウムはNaClOです。この希釈液は強アルカリ性です。最もよく見かけるのはキッチンハイターなどの台所用漂白剤で、NaClOの5〜6%水溶液に界面活性剤が微量に添加されたものです。但し類似品の中にはNaClOの濃度が半分の2〜3%程度のものもあります。  入手性と価格、使いやすさでは液体の次亜塩素酸ナトリウムが突出しており、ここでは次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターおよびその類似品)を取りあげます。  筆者は、次亜塩素酸ナトリウムが大好きで、水回りは何でもかんでもキッチンハイター(実際は格安の類似品)を薄めた液で消毒しています。但し、強酸との接触は必ず回避しているようにしています。「混ぜるな危険」です。トイレもお台所もお風呂も水回りはシュッシュで、カビは皆殺しです。  筆者が愛用するのは安い類似品ですが、次亜塩素酸ナトリウム濃度が5〜6%でおなじである限り効果は変わりませんし、2〜3%と濃度の低い製品でも希釈倍率を変えれば良いだけです。値段は税込みでも600mミリリットルあたり税込み100円前後で、いつでも何処ででも入手できます。  塩素系殺菌剤の利用で重要なのは有効塩素濃度です。それではーコロナウィルス対策としてーどの程度の有効塩素濃度が必要なのでしょうか。

消毒に必要な次亜塩素酸ナトリウム濃度と希釈液の作り方

 塩素系消毒剤の強さは、有効塩素濃度で示します。塩素殺菌されている上水道の蛇口での有効塩素濃度は1ppmです*。疫病発生などの緊急事態ではこの有効塩素濃度が2ppmに引き上げられることがあります。WHO(世界保健機関)の勧告では、5ppm以下とされています。 〈*ppmは、百万分の一で1%は、10,000ppm 参照:ppm換算表 ナカライテスク〉  コロナウィルス対策には、500ppmの次亜塩素酸ナトリウムでドアノブなどの滅菌ができる厚生労働省が公表しています*。この濃度はかなり高めですが、確実にコロナウィルスを破壊するにはこの程度の有効塩素濃度が必要という考えのようです。また吐瀉物や便器の消毒には1,000ppm(0.1%)の次亜塩素酸ナトリウムを推奨しています。これらの推奨値は、医療機関向けと全く変わりません。〈*“ウイルスは物についてもしばらく生存しているため、ドアの取っ手やノブ、ベッド柵にウイルスがついている可能性はあります。0.05%の次亜塩素酸ナトリウム(薄めた漂白剤)で拭いた後、水拭きするか、アルコールで拭きましょう。トイレや洗面所の清掃をこまめに行いましょう。清掃は、市販の家庭用洗剤を使用し、すすいだ後に、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用消毒剤を使用します。” 出典:新型コロナウイルス感染症(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 脇田座長説明)厚生労働省〉  この有効塩素濃度500ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液というのはかなり強力な漂白、殺菌作用があり、あの頑強なノロウィルスでも破壊してしまいます。そして、衣服は脱色されてしまう恐れがあります。またアルカリ性なので、皮膚の弱い人は、ゴム手袋か使い捨て手袋の着用が必須です。  次亜塩素酸ナトリウム希釈液の具体的な作り方は、官公庁自治体のホームページで見ることができるのでそちらをご参照ください。筆者は、目黒区役所のホームページ*がいちばん見やすいと考えています。 〈*次亜塩素酸ナトリウム液の作り方 目黒区 0.1%と500ppmの処方がコロナウィルス向け〉  覚えておくと良いのは、ハイターのピンク色のキャップは25ミリリットル計量でき、ペットボトルのキャップは5ミリリットル計量できることです。  従って、500ppmの次亜塩素酸ナトリウム希釈液が欲しい場合は、ペットボトルのキャップ一杯のキッチンハイターを500ミリリットルペットボトル入りの水で薄めれば良いです。水は水道水で全く問題ありません。家庭・一般業務利用では、精製水の利用は全く無意味ですし、ミネラルウォーターの利用は好ましくありません【常用500ppm(0.05%)次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方】原料 1)キッチンハイターなどの5〜6%程度の次亜塩素酸ナトリウム溶液 (プライベートブランド等に3%など濃度の薄いものがあるので要注意、その場合は薬液を倍にする) 2)水道水(ミネラルウォーターやアルカリイオン水は好ましくない) ●道具 500ミリリットルペットボトル1本 ●処方 水500ミリリットル(ペットボトル1本)に5ミリリットル(ペットボトルキャップ一杯)のキッチンハイターを混ぜる。  1%の次亜塩素酸水が欲しい場合は、ペットボトルのキャップ二杯のキッチンハイターを500ミリリットルペットボトル入りの水で薄めれば良いです。  日常利用は、500ppmでよいので、市販のキッチンハイター600ミリリットル入りから60リットルの消毒液が作れます。従って一月に2本(200円相当)もあれば十分です。 なお次亜塩素酸ナトリウムは、時間と共に分解して水と食塩になります。このため使用期限を守ってください。キッチンハイターの場合、製造後一年で有効塩素濃度はだいたい半分になり、三年後には1/3になります。次亜塩素酸ナトリウムは、高温と光で分解が進みます。従って希釈液は、冷暗所に保管してください。冷蔵庫に入れる必要はありません。遮光瓶が無い場合は、透明な瓶をアルミフォイルで包めば良いです。アルカリ性の物質は、ガラス瓶に入れないでください。アルカリは、ガラスを溶かします。 厳密には、製造後の劣化=分解に応じたキッチンハイターの推奨希釈量については、花王株式会社のホームページに詳しいです*。〈*花王株式会社 お問い合わせ 花王の塩素系漂白剤で、次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?
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強力であるがゆえに多く存在する「注意点」!
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