コロナ緊急事態が続く日本と、収束に近づくマレーシア。どこで差がついたのか?

外出禁止と低所得者への補償がセットでなければ効果は出ない

マレーシアイメージ3 とはいえ、マレーシア国民にも不満がないわけではない。会社に所属しない日雇い労働者は失業状態にいるし、中小企業へのコロナ対策の融資は手厚いとはいえ、新たな借金を背負うことで倒産を意識する経営者もいる。  また前述の月600リンギの賃金補助は対象者が限られるので、企業は減給や解雇に踏み切ると予測される。マレーシア国立銀行は「失業率は昨年の3.3%から今年は4%に増加する」と見込んでいる。  それでも、筆者が現地住民とのSNSでのやりとりで感じるのは、「落ち着いている」ということだ。どの知人に尋ねても「ずっと家にいるのはきついけど、モノがなくなったわけじゃない。今は落ち着いて行動し、最低限の生活を維持することだけ考えたい。もう少しの我慢です」と、淡々と答えてくれた。  休業補償については完全な対策とは言えないが(日本よりはマシ)、それでもマレーシアではコロナ収束への可能性が見えてきた。やはり、強制力のある外出禁止と低所得者への補償は、セットでなければと改めて考えさせられたのだ。 <文/樫田秀樹 写真/パヤ・イマン>
かしだひでき●Twitter ID:@kashidahideki。フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。
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