コロナ緊急事態が続く日本と、収束に近づくマレーシア。どこで差がついたのか?

補助金支給のほか、必要最低限の食糧配布も

必要最低限の物資

マレーシアのサラワク州政府はどんな奥地の村にも行き渡るように、必要最低限の物資をヘリコプターや車を総動員して運んでいる

 パヤは今、街で暮らしているが、もともとは奥地の森にある小さな村の出身だ。そこでは自給自足的な農業に加え、森の産物(果物や野生動物など)を現金収入にすることで生活を維持している。コロナ感染者がゼロである森の住民に対しても、政府の対策は対等だ。 「出身地の森の村では、独身者はみんな低収入。だから、一律800リンギをもらうみたい」(パヤ)  マレーシア政府は次のような措置も講じている。コロナの影響で50%以上の減収がある会社で働く月給4000リンギ(10万円)以下の社員には、不十分ではあるが毎月600リンギ(1万5000円)の賃金補助金(休業補償)を最長で半年間支給する。  そして、会社がその分の減俸などをしないように、マレーシアの「人的資源省」は先手を打った。企業に向けて、「この賃金補助の受給期間は、会社は被雇用者を解雇しないこと。減俸しないこと」といった対応マニュアルを発表したのだ。
支援物資

マレーシアのサラワク州政府が各家庭に送る支援物資。写真を見ると、米、コーヒー、砂糖、クラッカー、即席麺などが配布されている

 さらに、サラワク州(人口約230万人)政府は各世帯に必要最低限の食糧の配布も始めた。パヤが筆者に送ってくれたその画像には、米、即席麺、クラッカー、砂糖、コーヒーなどが写っている。州政府はそれを、パヤの出身地もある奥地の村々にも、ヘリコプター、車、フェリーなどを総動員して運んでいる。

4月初めはほぼ変わらなかった日本とマレーシアの感染者数。1か月後には明白な差が

 ツイッターで、在マレーシアの日本人から以下の情報が入ってきた。そのほかにもこんな対応策がとられているという。 ●家計や企業が支払う電気料金は9月まで一律で2%割引きになる。 ●銀行ローンが半年間支払い猶予される。 ●中小企業の法人税の3か月の支払い猶予など。 そのうちの一人はこう投稿している。 「政府が本気でコロナ終息に取り組むのを現地にいて感じます。本来的には『国民』を守るためのマレーシア政府の努力や現地企業の犠牲を『外国人』である自分が享受していることを忘れず、感謝してstay homeを遵守します」 感染者数推移死者数推移 果たして、マレーシアでは、4月上旬に入ってからロックダウンと生活保証の成果が見えてきた。4月5日時点で、感染者は累計3483人に対し死者は累計53人を記録している。これは、日本の感染者3271人と死者70人という数字とあまり変わらない。  だが、両国の数は5月4日になると違ってくる。マレーシアの累計感染者6353人に対して、日本は1万4895人と倍以上の数となる。死者も、マレーシアの累計105人に対して日本は510人。約5倍になっている。  これを日毎のデータで見ても、マレーシアでは4月17日以降、新規感染者は2ケタに落ち、死者に至っては4月2日以降で5人以下。ゼロを記録する日もある。対して日本では、新規感染者は4月に入ってからずっと3ケタの数字が並ぶ(最高は4月11日の656人)。死者については、4月13日まではずっと1ケタだったのが、14日からは2ケタが続いている。  日本が何もしていないわけではないが、マレーシアの取り組みからは、日本の「後手後手」の対策とは真逆の「先手先手」の対策が見えてくる。
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「自粛と補償はセット」は当たり前の話
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