さて、西条駅には、幾つかの
産業・鉄道遺構があるのですが、それらの説明は、北館にあります。南館のフリーゲージトレインなどのご紹介で写真に写り込んでいたレンガの古い建物は、1921年に建設されたカーバイド庫で、塔のような建物は、同じく1921年に建設された給水塔です。西条駅には機関庫が設置されていたためにこれらの設備が必要でした。
カーバイド(炭化カルシウム)は、水を加えることでアセチレンが発生し、かつてはこのアセチレンを燃やしてランプにしていました。これがアセチレンランプです。カーバイドは、水をかけると危険ですので敷地の外れに置かれます。写真でも注水禁止、火気厳禁などと書かれています。
給水塔は勿論、蒸気機関車のためのものですが、現在も駅構内の用水をためるために使われているとのことです。
既に転車台は痕跡すらありません。2017年まで使われていた構内の跨線橋には、1930年官営八幡製鉄所製の30kgレールが使われていたとのことです。残念ながらこの跨線橋も2018年に解体されて今はありません。とても残念なことです。
伊予西条駅の鉄道遺構の説明2018/11/02撮影 牧田寛
カーバイド庫2018/11/02撮影 牧田寛
写真は、コントラスト、色合いを大きく調整しています
給水塔2018/11/02撮影 牧田寛
四国鉄道文化館北館の高松方には大きな木の扉があります。この扉は開閉し、新幹線0系電車とDF50-1を出し入れできますが、とくにDF50-1の展示用軌道は、館内から外に延びており、本線と合流しています。DF50-1の搬入もこの軌道を使って行っています。この軌道を使ってゲスト展示車両の搬入も行われており、例えば2014年12月6日には、
毎度おなじみのヤツが搬入されています
扉の館内側には、「
近い将来、フリーゲージトレインが四国に入ってくると、新幹線も含めた全てのJR線路とつながることになります。」とあり泣かせます。
残念ながらフリーゲージトレインは事実上開発失敗しましたので、第三次試験車を引き取らない限り来ることはありません。また国土交通省は、JR北海道に続いてJR四国を潰しにかかってきています*。いつもの、やることないからなんでも無意味な仕事を創り出して国も市民も食い物にする有害無益なカイカク病です。
〈参照:
JR四国に経営改善指導 国交省、自立計画の達成困難で2020/03/31日本経済新聞〉
このような屑い無駄なお遊戯をしている暇があるなら、大失敗に終わりかねない長崎新幹線を含めて高速狭軌鉄道網(スーパー特急)など全国鉄道網の再建を考えるのが仕事でしょう。
四国鉄道文化館北館裏側木戸の表示2019/11/23撮影 牧田寛
本線とDF50-1の軌道はつながっています。しかしフリーゲージトレインが来ることはまずあり得なくなりました
四国鉄道文化館北館裏側駐車場2018/11/02撮影 牧田寛
通常はこの駐車場の車を停めます。右手は観光交流センター
DF50-1の展示のための軌道が館外に延びています
展示用軌道と本線の合流2018/11/02撮影 牧田寛
展示用軌道は、本線と合流しています
時間も遅くなり日も暮れてきました。筆者は、おなかが空いたので西条駅本屋に入居する
ウィリーウィンキー(JR四国のパン屋さん) でおなかをすこし膨らませて、
へこみデミオで帰路に発ちました。
西条は、観光都市と言うよりは工業都市ですが、宿泊施設もそこそこ充実しており、また石鎚山の入り口でもあります。松山、今治、西瀬戸自動車道、石鎚山などが近いので、コロナ禍が収束した後のレジャーとして、駅と一体化した鉄道公園の観光はいかがでしょうか。
西条駅本屋2019/11/23撮影 牧田寛
西条駅本屋(えきほんや)は、ごく在り来たりの国鉄規格の駅舎ですが、最近は少なくなってきました
西条観光マップ2018/11/02撮影 牧田寛
西条は、四国の屋根、石鎚山への入り口となっています。今治、松山へも遠くありません
<取材・文・撮影/牧田寛>