結局、あらゆる関連企業が損失を覚悟しながら、なんとか倒産しないために踏みとどまることに傾注する2020年がやってきたわけだ。
だが、新型コロナウイルスは誰もが予想しなかった災厄だった。東京ビッグサイトでは既に4月までのイベントがすべて中止となることが決定。イベント関連企業の中には売上の9割が消えたという企業もある事態となっている。
そこにやってきた東京五輪中止の報。いま、イベント関係者が求めているのは東京ビッグサイトの使用停止スケジュールの見直しだ。
現在、東京五輪に使用される予定の施設が延期にともない、その期間にどういう使われ方をするかはまったく未定だ。東京都オリンピック・パラリンピック準備局によれば、会場の扱いは大会組織委員会の決定を待っている状況だ。
「まだ延期が決まって数日。組織委員会が方針を決まらないことには、なにもできません」(準備局担当者)
東京ビッグサイトの場合、最悪のシナリオはメディアセンターとして利用するための工事が行われていることを理由に、このまま2021年の開催まで使用できなくなることだ。
東京五輪の延期時期は1年程度とされている。かりに2021年の同じ時期に開催するとして、これまで5ヶ月だった完全に使用できない時期が一年以上に及ぶことになる。
冒頭で苦境を語った岡田社長は語る。
「塩漬けなんてとんでもないことです。東京五輪が延期になったのですからふさいでおく意味はありません。(東京ビッグサイトと交渉できる)主催者は交渉を始めているのかもしれませんが、早く決めて欲しいです」
昨年から工事に入っている東京ビッグサイトの東展示棟は無理だとしても、まだ使用可能な西・南展示棟と青海仮設展示棟の使用停止スケジュールを見直すことは、まだ可能なはずだ。
実際に、今年秋以降の東京ビッグサイトのスケジュールはどうなっているのか。東京ビッグサイトの企画広報課の担当者は話す。
「利用年度の一年半前から予約を開始しています。ですので2020年10月から、すでに150件以上の契約が成立しており、他に日程調整中のものなど250件程度あります」
新型コロナウイルス対策で2月以降に中止になったイベントについて東京ビッグサイトは既に支払われた会場使用料の返金を行っている。現在のところ2月22日から4月12日までの開催イベントが返金対応となっているが担当者は「今後についても国や都の動向を踏まえ検討することとなっております」と話す。来年の東京五輪まで使用できないとなってしまえば、返金以上の混乱は必至。かといって5月以降は東京五輪のための工事も本格化するわけで、そちらを止めてもまた混乱という八方塞がりの状況だ。
では、いったいどうすればよいのかは、現場でもわからない。
「現時点で当社に延期後の会場使用に関する正式な話はないんです」