続いてのJR初は、改札を入ってすぐの場所にある「
無人コンビニ」だ。
高輪ゲートウェイ駅に設けられた無人コンビニは、その名も「
TOUCH TO GO」。この店舗は3月23日に開業だったため、取材時には開業前であった。
この無人コンビニは、JR東日本グループの「JR東日本スタートアップ」と、システムコンサルティング企業「サインポスト」(本社:東京都中央区)が設立した「TOUCH TO GO」が運営。同社は2017年以降、大宮駅などで「期間限定店舗」として実証実験をおこなってきたが、常設店舗としてはJR初のものとなる。広さは約60平方メートル、営業時間は6時から24時で、店内に入り商品を持って出入り口の決済端末に向かえば自動的にその商品が表示されるシステム。購入した商品はカメラや重量センサーなどで認識するといい、商品をスキャンすることなどは必要ないという。開業時点では、支払いには交通系電子マネーのみが利用できる。
なお、「無人」といっても店内清掃や商品補充などは人が行なうそうで「完全に無人で全てのオペレーションをおこなう」という訳ではない。
取材時は開店前だった無人コンビニ「TOUCH TO GO」。
「TOUCH TO GO」のシステムは月額約80万円で提供されるということで、将来的には他駅でも導入されることになろう。コンビニというだけあって、願わくば「ファミマ」「セブン」などのように気軽に呼べる略称が欲しいところだが…店舗が増えた際には何と呼ばれることになるのだろうか。
最後の「JR初」は「ロボットとAIの本格導入」だ。
JR東日本では、これまでも清掃など限られた分野でロボットが導入されていたほか、東京駅や品川駅など一部の駅では、イトーヨーカドーやイオンモールでもお馴染みとなったティファナ社(東京都目黒区)の汎用女性AI「さくらさん」が導入されていた。
高輪ゲートウェイ駅で特に強化されたのが、こうしたAIやロボットによる「案内機能」だ。
AI案内システムとしては、先述した「さくらさん」に加えて新たに「駅案内AIサイネージ」「BotFriends Vision」を導入。これまでの「さくらさん扮する女性駅員のみ」から、新たに男性駅員のAIも導入されることとなった。さらに、コミュニケーションロボット「EMIEW3」も導入。こちらは日立のデジタルサイネージに合わせて対話型で駅構内などの案内をおこなうことができる。
これまでの駅とは違い、複数社の異なったAIが導入された背景には、どのAIがどういった場面で最適かということを調査するための実験的要素が大きいと思われる。
コミュニケーションロボット「EMIEW3」。
それぞれのAIは日本語、英語、中国語(中国向けの簡体中文/台湾・香港向けの繁体中文)、韓国語の5ヶ国語にも対応しており、それぞれの言語で話しかければその言語に合せた案内をおこなうこともできるという。余談であるが、1つ気になったのが一部のAIで台湾・香港向けの表示をおこなう際に出てくる国旗が中華人民共和国のものであったこと。国際問題にならなければいいのだが……。
このほか、移動式の案内ロボットとしては「Station Service Robot」「HOSPI」「WHILL NEXT」の3つが導入されている。
このうち「Station Service Robot」は駅構内を巡回しつつ、構内の案内と広告・宣伝をおこなうもの。「HOSPI」「WHILL NEXT」は、自走しながら「トイレ」や「エレベーター」などといった目的地までの誘導をおこなうこともできるという。
なお、これらのAiやロボットは開業直後の混雑防止のため現在は稼働をしていないものもあり、取材時には実際に動いている様子を捉えることはできなかったものも多かったが、それぞれ4月までに順次稼働を開始する予定となっている。
駅構内では、このほかにも警備や清掃など様々な分野でロボットが導入されている。それぞれのロボットには返事を返してくれるものもあるということで、構内でロボットを見かけた際にはぜひ挨拶を交わして「未来」を体感してみてはどうだろうか。