「campy!bar」は純喫茶「はまのやパーラー」と二毛作営業。昼夜それぞれ別の顔を見せる
昨年リニューアルオープンを迎えた「渋谷PARCO」。193もの店舗が集結する中、渋谷の街のど真ん中に新たな風を送り込む店舗が話題になっている。その名は「Campy!bar」。女装パフォーマー・ブルボンヌ氏をはじめ、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)のスタッフたちが展開する新宿二丁目発のミックスバーだ。
“ゲイバーの街”“閉ざされた世界”として世間に認識されている新宿二丁目の文化が、多様な人々が集まる渋谷へ進出するその理由とは?
新生・渋谷PARCO(提供:パルコPR事務局)
渋谷PARCOはリニューアルによって、これまでの商業施設の枠を超えて「新しいこと・人と違うこと・面白いこと・個性」を追求すべく、日本の新たなカルチャー発信地としてのスタートを切った。そんなPARCOに進出した 「Campy!bar」は、女装パフォーマー・ブルボンヌ氏がプロデュースを手がける、新宿二丁目の中では高い知名度をほこるミックスバーだ。
新宿二丁目といえば、“ゲイバーの街”として広く知られるエリア。オネエブームや芸能人も通うゲイバーがあるとしてメディアにもたびたび取り上げられ、近年は観光地化の傾向にあるという。
とはいえ、新宿二丁目は繁華街から離れ独立した土地柄にあること、さらにジャンルに特化したエリアということもあり、世間ではいまだ“閉ざされた空間”としての印象が強いようだ。
そんなクローズドなイメージを抱える新宿二丁目から、国内外を問わず老若男女が集まる渋谷の中心部、しかも人通りの多い商業施設の中にミックスバーが進出したのだ。
日本カルチャーの中心的発信地ともいえる渋谷の文化に、新宿二丁目の文化ははたして融合するのだろうか。「Campy!bar」代表の家弓氏に話を聞いた。
LGBTのことを知らない人に、性のカタチはいろいろなんだと感じてほしい
建築家の藤本壮介氏が環境デザインを手がけた地下1階レストランフロア「CHAOS KITCHEN(カオスキッチン)」
建築家の藤本壮介氏が環境デザインを手がけた、地下1階レストランフロア「CHAOS KITCHEN(カオスキッチン)」。天井と床に鏡面素材を使い、店舗の外観をうつりこませて無限の広がりを表現した空間は、混沌とした新宿ゴールデン街や地方の地下街をイメージして作られたという。そのフロアの一角に店をかまえるのが「Campy!bar」だ。
「Campy!bar」は、店舗を別業態の純喫茶「はまのやパーラー」と共有し、朝9から夕方5時までは純喫茶、夜7時から翌朝5時まではミックスバーという二毛作で経営を展開する。
「新生渋谷PARCOのテーマのひとつである“ジェンダーレス”に特化したお店を、ということで出店オファーをいただきました」というのは、株式会社Campy代表取締役社長・家弓(かゆみ)隆史氏。
「まだまだ“まわりに同じゲイもいないし、レズビアンの人なんて見たこともない。自分だけが変なのかな”なんて生きづらさを感じている人たちって多いんですよ。それに、オネエキャラはテレビで観ていても、実際のLGBTのことはピンと来ない人も。そんな人たちが自然に、性のカタチはいろいろなんだと感じてもらえる場所があれば」