余計な一言が部下を萎縮させる。「聞いてるつもり上司」の落とし穴

日ごろの対話や面談や商談で、「ああしろ」「こうしろ」「あれが良い」「これが良い」と指示・命令したり、売り込みをしてばかりいては、同僚であっても顧客であっても、巻き込むことができない。北風と太陽ではないが、うるさく言われれば、誰でもうっとうしく思うものだろう。

コーチング話法は瞬発性が肝心

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 そこで、指示・命令や売り込みをする代わりに、次の5つの質問を繰り出すと相手を巻き込みやすくなる。相手にどうしても指示・命令したいことは、この5つの質問のあとに伝えると、相手の腹落ち度合が格段に高まる。 ●相手を巻き込む「5つの質問」 1:やってみてどうでしたか? 2:うまくいったことは何ですか? 3:うまくいかなかったことは何ですか? 4:どのように改善したいですか? 5:サポートを得たいことは何ですか?  ところがこの5つの質問も、とっさのとき瞬時に繰り出せるようにしておかないと、肝心な場面で相手を巻き込めないことになる。筆者がビジネススキルを向上させる演習をしていると、とっさのときにはつい指示・命令を売り込みのフレーズが口に出てしまう人が実に多い。  とっさのときに相手を巻き込む質問を繰りだせるようになるためには、反復演習して体で身につけておくことが必要だ。何も長い年月が必要なわけではない。2時間程度、自撮りしながらロープレし、自分の話法の動画を自分で確認して修正する反復演習をすると、相当程度、いざというときに使えるようになる。  相手を巻き込む5つの質問は、トップダウンのマネジメントではない、コーチング型のリーダーシップを発揮するための5質問でもある。書店にいけば、コーチング理論書籍は山ほどあるが、「コーチング理論書籍をいくら読んでも、コーチングを実施することができない」という相談を受けることがある。  頭で理解することと、行動や話法で繰り出せるかどうかということは、まったく別ものだ。そのため、行動や話法で繰り出せるようになるためには、反復演習が必要だ。極論を言えば、仮にコーチング理論書籍を1冊も読んでいなくても、この5つの質問さえとっさのときに繰り出せるようになっていれば、相手を巻き込むコーチングが実践できているということになる。  理論書籍を読んでも実践できない人と、理論書籍を読んでいなくても実践できる人と、ビジネス実践の場面では後者の人のほうが、コーチング実践力があり、ビジネスに役立っているということになる。

実践できるかどうかは、話の順番で決まる

 この相手を巻き込む5つの質問だが、反復演習で瞬時に繰り出せるようになって、実践の場面で活用し始めたとしても、トップダウンのマネジメントに陥ってしまう落とし穴が3つある。その落とし穴の場所をわかっていれば、みずからその穴に落ちてトップダウンに逆戻りしてしまうことはない。  その落とし穴の1つ目は、相手が質問に答えない場合だ。相手が質問に答えないので、自分から話を始めてしまい、結局、指示・命令、売り込みに陥ってしまうパターンが多い。このように申し上げると、「相手が話さないのだから、しょうがないではないか」という声が聞こえてくる。  しかし、方法はある。相手が話さなければ、こちらも話さず、にっこり微笑んで、相手の返答を待てばよい。もちろん、いくら待っても返答がなければ、「次回も聞かせてもらいたいので、よかったら考えておいて」と伝えることは効果がある。何度か繰り返していると、相手が返答してくれるようになる。コーチングの質問が両者の間に浸透したという状況になる。
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相手の回答に乗じた指示・命令は禁物
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