――海外と日本の差は他に何かありますか?
中村:日本は女性が住みづらい国ですよね。16歳から22,3歳までイギリスにいてその後はアメリカに30歳までいました。バブル崩壊も知らないですし、ほとんど日本のことはわからなかったと言っても過言ではありません。
なので、日本に帰って来て「結婚してるの?」と頻繁に聞かれたことが不思議でしたね。海外でそういう質問をされることはありません。
日本では、女性は「妻」とか「母」とか家庭の枠に収まっていないとみんな不安なんじゃないかと思います。それがないと問題視されてしまうというか。そういうのが面倒くさいし、やり辛いですね。
――今後取り組んでみたいことについてお聞かせください。
中村:2001年に起きた9.11と2011年に起きた3.11を結ぶフィクションの映画を海外との共同製作の形で実現したいです。9.11の後に書いた脚本を久しぶりに見直していたら3.11の日に成田で被災して、一晩成田で過ごしたんですね。今までのドキュメンタリーで得た視点を取り入れたフィクションの企画です。
――最後に、映画を製作して上映することの意義についてお聞かせください。
中村:テレビで仕事をしていると、どうしても自主規制の姿勢を感じます。とりあげるネタが限られますね。その点、劇場で上映するドキュメンタリー映画はお金を払って見て頂くものなので、テレビでできないものを手掛けるべきだと思っています。
劇場でお客さんの顔を見える場所で作品を発表するのは作り手として安心できます。トークイベントなどでお客さんと対話することによって、作品に対する意見も聞くことができるんですね。それが嬉しいです。
今回の『愛国者に気をつけろ!』もトークの時間を長めに取っているのは社会に対して物を申したい人たちからの質疑を期待しているからなんですね。質疑と言いながら自分が話したいことを話して頂くだけでもいいのですが(笑)。
そういう意味では、映画館が対話の場になってもいいのではないかと思っています。テレビやインターネットではできないことにこれからも取り組んでいきたいですね。
<取材・文/熊野雅恵>
くまのまさえ ライター、クリエイターズサポート行政書士法務事務所・代表行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、自主映画の宣伝や書籍の企画にも関わる。