一方で安く手に入ったからといって「客付けがうまくいかないことには意味がない」と菊地氏。
「私が手がけているサーファー向け物件も最近では供給も増えて、新築アパートが埋まらないケースが見受けられます。そういう物件は看板やデザインがイマイチだったり、『安く建てて高く貸したい』が全面に出すぎている感じがしたり、入居者のことに目を向けていない物件が少なくありません。安く物件を手に入れることはもちろん大切ですが、その先も見据えて動くことが肝心です」
古い物件は和室の部屋が残っているケースも多い
菊地氏は思い切ってサーファーテイストに模様替え。「DIYという趣味がビジネスに繋がるなんて全然考えていなかったので、今はこうして実益も兼ねられて、とても嬉しいです」
サーフスポットで投資を続ける菊地氏。地域を絞って集中的に投資を行う「ドミナント戦略」のメリットを次のように語る。
「地域を絞って投資を行うことで地場の不動産業者との繋がりができて、いい物件情報が入ってきやすくなります。また、先日の台風で私が所有している物件にも被害が出てしまったのですが、付き合いのあるリフォーム業者が優先的に直してくれたおかげで助かりました。あと、物件を持っているエリアが、東京五輪のサーフィン競技会場から近いため、最近では民泊にも挑戦しています。前オーナーが別荘として使っていた平屋物件を、馴染みの不動産屋を通じて購入しました。これを車一台分ほどの費用をかけてリフォームし、旅館業の許可も取り民泊物集として募集を開始しました」
購入時にはかなり老朽化していたものの、独学でやり方を学び、壁にモールを貼り付けなど自らの手で直すことに
「最初はキッチンごと交換してしまうことも考えたのですが、節約のために全部自分でやりました」と菊地さん
開業した民泊はサーファーだけでなく、海辺でバーベキューをしたいグループなど、パーティースペースとしての需要もあるという。
「利回りはいいけど、全然知らない土地で投資をスタートするよりも、ある程度の土地勘のある場所で、普通の利回りを目指すほうがいいと思います。いきなりホームランは狙わず、小さな物件から始めて経験を積むのが結局は失敗しにくいです。初期投資が安く抑えられる競売もその一つの選択肢にすることがおすすめですよ」
強みを生かして、高利回りを実現する菊地氏。得意分野を生かすことで大家業もうまくまわるようだ。
<一発逆転不動産投資3箇条>
1 物件を安く入手できる競売もひとつの選択肢に
2 土地勘のあるエリアで重点的に物件を探す
3 物件購入後は入居者目線で物件の価値を高めていく
【菊地美佳氏】
千葉県を中心に格安戸建てや小規模アパートをリフォームで再生。現在のキャッシュフローは月に約100万円。不動産投資情報サイト「健美家」でコラムを連載中