ヤフー・LINE統合の裏にある孫正義会長の思惑とは? 闇株新聞が読み解く

闇株新聞ロゴ 数多の経済事件の裏側を暴いて注目を浴びながら、’18年に突如休刊した闇株新聞が’19年7月に復活! パワーアップして帰ってきた闇株に、’20年の注目ニュースと、世界の景気&株価、仮想通貨の動向、値上がりが期待できる銘柄までを予想してもらった。

’19年後半のマーケットの話題はソフトバンクグループ

10月にヤフーの子会社となったZOZOの創業者・前澤友作氏と孫正義氏。前澤氏は今もZOZOの35%を保有 写真/産経新聞社

 ’19年後半にマーケットの話題をさらった企業といえば、ソフトバンクグループだろう。9月にはグループのヤフーによるZOZO買収を発表。さらに、11月にはヤフーとLINEとの統合を発表。メディアは「GAFAと対抗へ」と騒ぎ立てた。しかし、現実はそんな大それたものではない。11月18日に発表された両社の経営統合案には不可解な点も散見される。  1つには、そのスキームだ。統合に際して、ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)の発行済み株式の44・6%を保有する親会社のソフトバンク(携帯電話会社のほう)と、LINEの72.64%を保有する韓国・NAVERは“折半出資”で新会社を設立する。ZHDはその新会社の子会社となり、さらにZHDの下にヤフーとLINEが連なるという。この新会社は上場しているLINEの株をTOB(株式公開買い付け)したうえで、ZHDと株式交換を実施。こうして新会社はZHDの発行済み株式の大半を握り、ZHDはLINE株を取得するが、このときの株式交換比率に不安が残る。統合計画案によると、その比率はZHD1に対して、LINE11・75。しかし、ZHDの11月22日終値は395円で、LINEは5170円。その比率は13.08倍となる。つまり、NAVERを筆頭にしたLINEの株主に不利なのだ。

孫会長は「シナジーが生まれる」というが……

 新会社はLINEのTOB価格を5200円としているため、今後LINEの株価は5200円に近づくだろう。しかし、ZHDは発行済み株式の58・7%にも相当する新株を発行して、新会社とLINE株の株式交換を実施する予定だ。当然のことながら、ZHDの一株当たりの価値の希薄化は避けられず、値下がりリスクが大きい。つまりNAVERが損失を被る可能性が高い。おそらく、かねてよりNAVER創業者の李海珍氏と親交があるソフトバンクGの孫正義会長が「LINEと経営統合すればZHDの株価はシナジー効果で上昇するから」と丸め込んだのだろう。だが、そのシナジーが生まれるかは怪しいところだ。何しろ、最近の孫会長には“ハズレ”が多い。いち早く出資して成功したのは中国のアリババぐらいだ。
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