首相官邸ホームページより
公金の私物化、公職選挙法違反の疑いなど安倍晋三首相(以降、安倍総理)が大きな批判にさらされている「桜を見る会」問題。安倍総理は11月15日、2度にわたって首相官邸でぶら下がり取材に応じ、記者からの質問に直接回答した。特に2度目のぶら下がり取材は実施が
当日直前に決まったにもかかわらず、約20分もかけて約30問の質問を受け付け、ぶら下がり取材に滅多に応じない安倍総理としては異例の対応となった。
しかも、その回答内容の文字起こしは映像と共に速やかに
首相官邸ホームページに掲載されるほど官邸側の対応は迅速であった。しかし、このリンク先に掲載されている文字起こし
は安倍総理の回答のみであり、記者の質問は一切掲載されていない。当日の映像を見て質問と回答を紐付けて確認すれば、質問と回答が噛み合っていない場面が幾つかも見受けられる。
そこで本記事では、11月15日の2回目のぶら下がり取材について、約30問の質問から7問をピックアップして回答を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。
*総理の回答は一字一句発言のまま記載するが、質問は音声が小さく聞き取れない箇所があるため要約して記載
*文中の時間表記は上述の首相官邸ホームページに掲載されている動画の時間と一致
まず、質問1点目は前夜祭の会費がホテルニューオータニの相場から見て極端に安い5000円であることについて。(首相官邸HPの映像では5:31〜6:51)
記者の質問内容は以下の通り。
記者:「今回の前夜祭について、参加者の多くがホテルに宿泊することを配慮して、ホテル側が5000円で引き受けたという認識でよろしいですか?」
この質問に対する安倍総理の回答。
安倍総理:「あの、
全ての人ではございませんが、あのー、
これはですね、あのー、えー、
おそらくホテル側はそう考えておられるんだろうと思いますが、あのー、え、言わば、まあ、
どのような、えー、
対応をしていくかというのは、その時の、また、また、
相手側がですね、例えば毎年使っているとかですね、どれくらいの規模であるとか、あるいは宿泊、宿泊
しておられるかと、そういうことを総合的に勘案して、えー、
値段を決めていかれるということなんだろうと思います。ただもちろん、ホテルとしては他のホテルとの競合もありますし、たくさんの、お、
お客様との関係もございますから、あー、
そこのところは今、あー、
私が申し上げた、あー、
形で決めておられるということを、私の方から申し上げますが、ホテル側は、あのー、おー、
いろんなことを勘案して決められているんだろうなと思います。あのー、
先ほど申し上げましたように、あのー、まあ
、ほとんどの方が宿泊をされているというのが、あー、
事実でありますし、あの、おー、
かなり多くの、えー、
人数であったと、そ、
そして定期的に毎年行われているということもあるんだろうとこう思います。(ほぼ青信号)」
質問は、
参加者の多くが宿泊客であることを配慮してホテル側が前夜祭の会費を5000円で引き受けたことについての総理の「認識」という曖昧な聞き方をしているため、それに関係する認識を述べている安倍総理の回答は全て(
青信号)と判定した。
ただし、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本文では地の色で記載)が極端に多く、総理が語っている「認識」は何を言っているのかよく分からない。
次の質問2点目は
参加人数の増加について。(首相官邸HPの映像では7:46〜8:07)
記者の質問内容は以下の通り。
記者:「安倍政権になってから人数が増加していることについて何が原因だと思いますか?」
この質問に対する安倍総理の回答。
安倍総理:「あのー、
先ほど申し上げましたように、年数が重なる中において、新たな人数が増えていったということではないかと、こう思っています(
青信号)」
質問は、シンプルに
人数増加の原因を聞いている。回答では、総理が考える人数増加の原因を答えているため、
青信号と判定した。ただし、「年数が重なる」ことと「人数が増えていった」ことは全くの別問題であり、
なんの説明にもなっていない。