後援会活動なのに収支報告書への記載は本当に必要ないのか?
最後の7点目の質問は収支報告書について。(首相官邸HPの映像では17:45〜18:53)
記者の質問内容は以下の通り。
記者:「後援会の活動であれば、収支報告書への記載が必要だが、その点の認識は?」
この質問に対する安倍総理の回答。
安倍総理:「
収支報告書への記載は、収支が発生して、えー、
それは発生するんです。あのー、
これは公職選挙法を見ていただければ明らかなんですが、えー、
それは収支報告書、お、せいしん、せいしん、せいほうじょうですね、あ、
政治資金規正法上、収支が発生して初めて、えー、
記入義務が生じます。
今申し上げましたように、えー、
交通費、宿泊費等について、直接、えー、
代理店に支払っていれば、これは後援会に収支は発生しません。えー、
前夜祭についても、えー、
ホテルが領収書を出し、そして、えー、
そこで入ったお金をそのままホテルにわ、
渡していれば、収支は発生しないわけでありますから、えー、
政治資金規正法上の、おー、
違反には全く当たらないということであります。で、
その際ですね、事務所の者が、えー、
そこで受付をするということは、これは問題ないということでございます。(
青信号)」
質問は、
収支報告書への記載の必要性についての総理の「認識」という曖昧な聞き方をしているため、それに関係する認識を述べている安倍総理の回答は全て
青信号と判定した。ただし、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本文では地の色で記載)が極端に多く、特に冒頭は何を言っているのかよく分からない。
そもそも、このホテルの領収書に関する説明には多くの疑問と問題点があり、弁護士・郷原信郎氏が自身の
ブログで詳しく解説されている。
以上、本記事で取り上げた質問7点に対する安倍総理の回答をまとめると、次のことが言える。
・公職選挙法違反に直結する質問(1点目、7点目)になると、言い澱みが極端に多くなる
・総理自身の関与に関する質問(3点目)、参加者の実態や偏りに関する質問(4点目、6点目)に対して、論点をすり替えている
とてもではないが
幕引きを図れるような状態でないことは明らかだ。
しかし、このぶら下がり会見の翌日(11月16日)という実に絶妙なタイミングで薬物所持で逮捕された女優・沢尻エリカ氏の報道にメディア各社は時間を割き始めている。思い返せば、2016年の年初に甘利明氏(当時・経済再生担当相)への政治献金疑惑が問題になったタイミングでは、清原和博氏。今年3月に辺野古基地反対の民意が高まったタイミングでは、ピエール瀧氏。
これを「大衆の目を逸らすためのスピン」などと安易に陰謀論的な話に結びつけることは避けたいが、少なくともメディアはこの芸能人の逮捕によって、政権の疑惑が覆い隠されるようなことにならないように、しっかりと取材・追及を続け、報道していただきたい。
<文・図版作成/犬飼淳>
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@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身の
noteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。
noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(
日本語版/
英語版/
仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。