1969年12月12日に原子炉設置許可が下り、同年12月26日に工事が本格的に始まります。航空写真は、1970年5月1日に撮影されています。
1970/05/01国土地理院撮影
1969年12月12日に1号炉建設許可が下り、同年12月26日に正式着工している。
田ノ浦の農地は完全に消滅している。工事現場から内浦湾へ土が流出しているのが分かる。
写真下、小黒飯手前の峠を抜くトンネル工事が始まっている
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
1970年5月1日になると造成工事は田ノ浦全域に拡大しており、高浜湾側(東側)への取水路の開削(かいさく)も進んでいます。特別高圧送電線(特高:設計500kV運用275kV)の鉄塔敷設が始まっていることも分かります。道路の改良工事も活発化しており、小黒飯地区南の交通難所を迂回する為の白浜トンネルの工事が始まっています。
田ノ浦地区から内浦湾へは大規模に土砂流出が起きており、漁業への影響があったものと思われます。これは、海岸を埋め立てて専用港を造成していた為です。
1972年5月3日になると1年あけて1970年11月25日に設置認可が下りた2号炉も含めて原子炉格納容器の設置が終えており、1号炉2号炉ともに生体遮蔽板(鉄筋コンクリート(RC)構造の茶筒のような原子炉建屋)の取り付けが始まっています。
1972/05/03国土地理院撮影
1号炉に1年遅れた1970年11月25日に2号炉設置許可が下りており1971年1月10日に着工している。写真では、1号炉、2号炉共に格納容器の設置を終え、生体遮蔽板の設置が進められている。
すでに冷却水の導水路(東側,高浜湾側)と道路の内浦大橋への付け替えを終えている。
小黒飯集落手前のトンネル工事(白浜トンネル)も終わっており、旧道の荒廃が進んでいる
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
敷地も取水路、排水路共に姿を見せており、更に3,4号炉用地の造成も進んでいます。この取水路の建設によって道路が遮断される為、内浦大橋が供用開始されています。
1974年10月25日では、すでに1号炉は完成しています。1号炉は、3月27日初併入11月14日営業運転開始で、撮影時点では、試運転中です。2号炉はまだ建設中ですが、大きな工事はすでに終わっています。
1974/10/25国土地理院撮影
高浜湾側の海面に見える筋は、クラゲ防止網である。
275kV特別高圧送電線(特高:高浜線)が一系統二回路しか見えない。但し、高浜連絡線(77kV)一系統一回路が音海と高浜発電所に繋がっているはずである。
小黒飯地区に港湾施設が現れた
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
1975年08月31では、1号炉定格出力運転中、2号炉試運転中となります。特高は一系統二回路のみで、加えて音海までの高浜連絡線77kV一系統一回路が接続されておりますが、脆弱性があります。ここで気がついたのですが、特高の鉄塔が地図・写真検閲で消されているようです。発電所直近の三本は写っていますが、四本目が不自然にぼけており、五本目、六本目の鉄塔があるべき場所の写真を最大に拡大すると、不自然なぼかしがあります。こういった子供だましの無意味な行為は止めていただきたいです。
1975/08/31国土地理院撮影
平成13年までは、真水4,800t/日を高浜町内の関屋川から取水していたが、現在は海水淡水化で賄っている。特高は一系統のみ
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
1976年7月8日では、1号炉2号炉共に定格出力運転中です。排水路の流量が多いことが写真からよく分かります。なお、2号炉の営業運転開始は、1975年11月14日です。
このように高浜発電所1,2号炉は建設されましたが、着工から営業運転開始まで1号炉が59ヶ月、2号炉が58ヶ月と5年未満です。
次いで3号炉、4号炉の建設を追います。高浜3,4号炉は、1,2号炉着工から約10年経過した1980年12月に同時着工しています。但し4号炉は、3号炉に工期を6ヶ月遅らせています。
高浜3号炉は、
わずか50ヶ月の工期で1985年1月17日に営業運転開始、高浜4号炉は、計画を2ヶ月繰り上げて
54ヶ月の工期で1985年6月5日に営業運転を開始しています。
高浜3,4号炉は、大飯3,4に先立ち関西電力原子力黄金期を体現する原子炉と言えます。
1981/09/17国土地理院撮影
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
1号炉定検中、2号炉定格出力運転中である。
3号炉、4号炉が1980年12月に着工しており、野球場が消えてしまった。
やはり特高が一系統二回線しか見えないが、並行して高浜連絡線77kV一回線が見える
1985/05/17国土地理院撮影
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
1号炉定検中、2,3号炉定格出力運転中、4号炉試運転中(6/5より営業運転)である。温排水の水しぶきが水路の外まではみ出している
なぜか特高が一系統しか見えない