被収容者たちは、ハンストを続けるしかなくなっている
加えて仮放免翌日の8月1日、サファリさんは数年前から申請していた難民認定申請の結果を受け「不許可」となった。このタイミングというのは、堂々と彼を再収用するための準備なのだろうか? 筆者は記者会見のあと、サファリさんと話した。
――入管は、被収容者を極限の状態に置くことを続けることで、被収容者から『母国に帰ります』と言うのを待っているのでしょうか?
「その通りだと思います。でも私は1991年に23歳で来日して以来、人生の半分以上を日本で過ごし、生活の土台も日本にあります。今イランに帰っても家も知人もほとんどなく、迫害の恐れもあります。帰れないんです」
――失礼ですが、もし明日の更新手続きが不許可となった場合、牛久に戻ることになりますが、ハンストにはもう関わらないのですか?
「いえ、私はすぐにハンストをやります! それしか私のとるべき道はないんです。生きてあそこを出るか、死ぬかのどちらかです」
サファリさんに同席していた駒井知会弁護士は「誰も、彼らにハンストなんてやってほしくない。でもこういう状況になって、彼らはハンストを続けるしかなくなっている」と悲しい気持ちを隠さなかった。
サファリさんは8月14日、再び収容された。そして16日、デニズさんが仮放免更新に臨む。2人の望みは、
「支援のため、16日朝9時に、できるだけ多くの人に東京入管(港区)に集まってほしい」ということだ。世間が騒げば状況は変わるかもしれない、との一縷の望みをかけて。
デニズさんには日本人妻がいる。妻は切々と、再収用を控えるよう国に手紙で訴えた
<取材・文・写真/樫田秀樹>