「仮放免」になっても、たったの2週間。再び収容される難民認定申請者たち

「長期収容」批判逃れのため!? 短期仮放免の後に再収容

サファリさん(左)とデニズさん

記者会見に臨むサファリさん(左)とデニズさん(右)

 8月13日、東日本入国管理センター(茨城県牛久市。以下、牛久入管)から仮放免(一時的に収容を解く措置)された2人の外国人が東京都で記者会見を開いた。その2人とは、デニズさん(トルコ出身のクルド人)とサファリ・ディマン・ヘイダーさん(イラン人)。  牛久入管では、次のような「かつてない」事態が起きている。 ●「生きてここから出るか、死ぬか」といった死を賭したハンストが5月から続いている。ハンストが始まった理由は、ここ2~3年のうちに1年を超える長期収容が常態化し、いったいいつ外に出られるのかがまったくわからない状況に置かれているからだ。 ●被収容者の3分の1に相当する約100人が、水だけを飲むハンストに参加している。ハンスト者の多くが体重の激減に加えて、吐血・昏睡などを経験し、体調不良に陥っている。 ●その結果、6月あたりから仮放免を勝ち取るハンスト者が現れている。しかし、その仮放免期間はわずかに1~2週間(通常は2か月)。その更新のために東京出入国在留管理庁(以下、東京入管。東京都品川区)に出頭すると「不許可」が告げられ、即日で牛久入管に戻されて再収用となってしまう事態が続いているのだ。  デニズさんの横に座った大橋毅弁護士も「入管関連の問題に携わって25~26年になりますが、今回のような『短期仮放免+再収用』というのはかつてないことです」と明言した。  この背景の一つとして、入管当局が「東京オリンピック開催に向けて、安全な日本社会を実現するために『社会に不安を与える外国人』を管理せよ」、はたまた「重病者を除き、収容を継続せよ」といった在留資格のない外国人の無期限収容を2016年以降に打ち出したことがある。

仮放免中のルールを守っていても、理由なく「更新不許可」

デニズさん

最収容への恐れを訴え、会見中に涙を流すデニズさん

 以下、それぞれのケースについてこの問題を書いてみる。  筆者が牛久入管でもっとも多く面会取材してきたデニズさんは、もともとトルコ国内でのクルド人差別に耐えられず、来日して難民認定申請をしている。牛久入管では、じつに3年2か月もの長期にわたって収容されている。  刑務所ならば犯罪に応じていつ出所できるのかがわかるが、それが一切わからないのが入管の収容所だ。デニズさんも6月からハンストに参加。毎日水だけを飲み、体重は減り続けた。医務室脇の静養室で横たわることもたびたびだったが、ついに仮放免許可が出ることになる。  ここで牛久入管が、デニズさんに仮放免を出す条件としてあげたのは「ハンストを中止すること」「血液検査を受けること」の2点。デニズさんはこの指示に従った。  そしてハンストをやめ普通に食事をしながら仮放免を待っていると、5月に最初にハンストを始めたイラン人で、7月に2週間だけの仮放免で外に出たシャーラムさんが「更新不許可」となり即日で牛久入管に戻ってきた。  仮放免中にやってはいけないことは2つある。「就労」と「許可なき移動」だ。だが、シャーラムさんはこれを遵守したのに仮放免更新が不許可となったのだ。不許可の理由は一切明かされない。
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「仮放免は戻ってくる」と嘯く入管職員
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