アルゼンチンという国は20世紀初頭は世界でトップレベルの経済大国であったが、その後政治の腐敗から国威は次第に減少して行った。その一因となったのが、副大統領候補のクリスチーナ・フェルナンデスなのである。
彼女は、当初大統領候補として立候補することを考えていた。ところが、彼女は現在汚職など13の容疑で公判を受けており、判事から7度も逮捕状が出されているが、彼女の上院議員という地位から不逮捕特権を使って逮捕から逃れているという状況なのだ。(参照:「
El Mundo」)
なぜそのような人物が、再び副大統領に立候補し、予備選で勝利を収めたのか? それは、彼女が書いた本がベストセラーになったことも一因がある。過去にさまざまな不祥事を起こし、訴訟を起こされているにも関わらず、知名度が再び上昇しただけで、大統領選に立候補できてしまう。そんな国家に欠陥があるということである。
ただ、アルゼンチンの世論調査では、マクリもクリスチーナ・フェルナンデスも大統領として望まないというのが6割にも達している。
そのため、彼女が選択したのは自分は副大統領になって、大統領には別の人物を選ぶとしたのである。それで白羽の矢を立てたのがアルベルト・フェルナンデスだったのである。
アルベルト・フェルナンデスは、ファミリーネームが同じのため混同しやすいが、クリスチーナ・フェルナンデスとは特に血縁関係はない。アルベルトは、クリスチーナ・フェルナンデスの夫ネストル・キルチネールが大統領の時に首相を務めた人物で、また彼女が大統領になってからも首相を務めていた人物だ。
ただ、このとき、クリスチーナとは考え方の相違で彼は辞任したことがある。そのあと彼はクリスチーナ・フェルナンデスの政治を痛烈に批判していたのだ。それが、彼女の方から大統領のポストを譲るから一緒に立候補しようと持ち掛けて今回のコンビが成立したのである。
大統領のポストを約束されたアルベルトだが、巷ではこのコンビで実権を握るのは彼女の方だと言われている。だから、彼女はIMFとも疎遠で犬猿の仲にあった関係から、この二人が政権に就くとまたデフォルトを起こすと投資家は懸念しているという。(参照:「
El Pais」)