「長期収容をやめ、仮放免を出してほしい」入管収容所で、死を賭したハンスト

ハンスト参加者は100人に達した

仮放免運用の徹底

2018年2月28日、入国管理局長が全国の収容所長などに宛てた「指示」。重病者以外は仮放免を継続するという指示が書かれている

 今年5月10日、「出られるかわからないのは冗談ではない」と、もう2年以上も収容されているイラン人シャーラムさんがハンストを開始した。  シャーラムさんはその1週間後に倒れ、医務室脇の静養室で横になっているのを見た同じイラン人たちがそれに続いてハンストを開始した。その数は、当初は4人だった。  6月に入ると、イラン人以外にも次々とハンスト同調者が増えていった。同時に体調不良者も相次ぎ、静養室のベッドはすぐに一杯になった。静養室の代わりに、通常は使われていない居住区間のいくつかがそれに代わった。  筆者は6月中旬、ハンスト参加者の一人でトルコ出身のクルド人Aさんに面会取材をした。彼はアクリル板の向こうからこう言った。 「近々、4人が仮放免されるそうです」  果たして、それは本当のことだった。6月からハンスト者に仮放免が出されるようになったのだ。すると、7月3日にはハンスト者は23人にまで増え、中旬には約100人に達した。仮放免者も7月9日時点で11人に増えた。

「生きてここから出られるか、ここで死ぬか」

収容施設の一覧表

日本にある外国人収容施設の一覧表。半年以上の長期収容が圧倒的に多い

 今回のハンストで仮放免がなされるようになったのは、2つの理由があると考える。  ひとつは、「被収容者が本気で死を賭している」ということだ。牛久入管では過去に何度もハンストが行われている。昨年も2回行われた。だが、数週間がんばっても牛久入管が仮放免を出さないとなると、自然解散のように終息するパターンが繰り返されていた。  実際、牛久入管の職員は筆者に「どうせハンストが終われば、また普段の生活に戻りますから」と話し、ハンスト行動を重視していないようだった。  ところが、Aさんは「今回のハンストは今までと違う。みんな『生きてここから出るか、ここで死ぬか』しか考えていない。だってこのままなら、ずっと収容されるだけでしょう」と語っている。今回のハンストは死を賭しているのだ。  面会行動をする市民団体からの情報によれば、牛久入管では毎日のようにハンスト参加者の誰かが倒れ、血を吐いたり意識朦朧となったりしているという。  7月4日に一人のクルド人が仮放免されたが、その1週間前にハンストで拒食症になった彼を診察した収容所外の病院医師が「このままでは死ぬ。内臓の問題ではなく心の問題だ」と診断した。こういった死亡予備軍が増えている事態に、牛久入管も動かざるを得なくなったと推測する。  もうひとつの理由は、6月24 日に長崎県の大村収容所でナイジェリア人サニーさんが死因不明で(3月から続けていたハンストが原因との情報もある)死亡。山下法務大臣の会見にまで及んだことだ。  3年7か月にわたって収容されていたサニーさんは、今年3 月から2か月間、仮放免を求めたハンストを続けていた。そのためか単独房に隔離され、体調不良を起こして死亡した。  7月2日、山下法務大臣は記者会見でこの件に触れ「人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用する」と声明した。その声明が実質的な命令となったのかもしれない。
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再収容の理由を明かさぬ東京入管
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