マーケターがフェミニズムを学ぶべき理由。あるいは、炎上しないために最低限必要なこと
生理・生理用品について気兼ねなく話せる世の中の実現を願い ソフィ『#NoBagForMe』プロジェクト始動
・ハイヒール強制はやめよう #KuToo運動に2万人近くが署名|BBC
#この髪どうしてダメですか 生徒と先生の対話 120秒 PANTENE(パンテーン)#地毛証明書 #HairWeGo)
時代は変わっていくし、おそらく広告主側よりも遥かに速いスピードでカスタマーの意識は変わっています。それらについてきちんと勉強しないのは単に無知であり大きなリスクであることを認識すべきです。
ドラッカーはこう述べています。
”変化はコントロールできない。できるのは変化の先頭に立つことだけである”
好もうと好まざると、これからも変わっていくでしょうし、変わらざるを得ません。
ということで、主に私より下の世代のマーケティング志望の学生さんに向けて、フェミニズムとマーケティングの関係性について書きます。
これからの社会で、人に何かを広めるときにとてもとても大事になることだと思っているから、よく考えてほしいのです。
今回、私は学問的な意味でのフェミニズムやジェンダーについて語るつもりはありません。それは非常に重要な観点ですが、今回の論点ではないのです。
この記事の論点は、ビジネスとしてフェミニズムやジェンダーの観点が、どのように取り入れられてきたか、ということです。
そのような観点でジェンダーを扱うことへの批判は一定存在するでしょうが、一旦その点はこの記事では横に置きます。
記事を読んでいただければ、ビジネス的観点で考えても、そういった観点をマーケティングに織り込まないことがいかに大きなリスクであることが、わかっていただけると思います。
2012年から始まった「フェミニズム第四の波」は、 #HeForShe(ジェンダー平等のための運動) や #Timesup(#MeToo同様、アメリカ発のセクシャルハラスメントに対する運動)、#MeToo などのムーブメントを発生させました。(参照:フェミニズムについて考えてみる~その歴史をわかりやすく紐解くと~|VOGUE GIRL)
最も大きな影響を受けた場所の一つは、ハリウッドです。#metoo ムーブメントはハーヴェイ・ワインスタインへの告発から始まり、日本でも大きく取り上げられ、全米(全世界)の女性を巻き込んだうねりとなりました。
アカデミー賞でも、ジェンダーは、人種差別(レイシズム)と並んで大きなテーマとなりました。というより、この2つのテーマを全く扱っていない作品がむしろ少ないと言えるくらいです。
今年も、『ボヘミアン・ラプソディ』『ROMA/ローマ』など、LGBTを含めたジェンダーが作品の大きなテーマになっている作品が多くノミネートされています。(参照:『ROMA/ローマ』『ボヘミアン・ラプソディ』『ブラックパンサー』が牽引した「第91回アカデミー賞」 作品賞は『グリーンブック』に!|FILMAGA)
コンテンツシーンでも明らかな変化が起きています。
主人公を女性にしてリメイク、という安直な発想で『ゴーストバスターズ』や『オーシャンズ8』が作られるという例もありますが、『マッドマックス 怒りのデスロード』『アナと雪の女王』など、従来の女性像にしばられない形で女性のキャラクターを描き、女性の開放が重要なテーマになる娯楽大作がヒットを飛ばすことは珍しくありません。
重要なことは、女性をステレオタイプに扱わなくても、(文学作品ではなく)娯楽作品として作られた作品が、充分な興行収入を上げていることです。
アジア系の俳優を多く起用した『クレイジー・リッチ』がアジア系アメリカ人の間でスマッシュヒットし、その後アジア系俳優を主役にした作品が複数作られたように、娯楽作品だからステレオタイプを利用しなくては売れないんだ、というような言い訳が通用しなくなっているのです。
このように、女性の描き方、フィクションの中での女性の自立や、観客の女性自身がそのコンテンツの中の女性の描かれ方に対して声を上げるようになったことで、ハリウッド映画は大きく変わっていきました。
もちろんこれは、テレビ作品でも同様です。Netflix、HBO などが作る作品を見れば、映画以上にこの傾向は顕著です。
先日、大学で講義をする機会があり、その中でマーケティングを仕事にする上で最も大事なのは「社会の変化の流れを読む」ということだ、と話しました。
海外のマーケターと日本のマーケターの違いを見ていて感じることはいろいろとありますが、こと時代の流れや社会の変化に対して敏感であるかどうか、という点では、日本のマーケティング業界は、極めて遅れていると言わざるを得ません。
ジェンダーの問題に極めて無頓着で、度々炎上を繰り返してなお、そのようなクリエイティブは後をたたないことがその一例です。
講義の中でもいくつか上げたように、良い事例(*)はいくつかありますし、2019年が一つの大きな転換期であることも間違いないと思います。
(*参照:
・
「ビジネス」視点で見た「フェミニズム」
ハリウッドから始まったコンテンツの変化
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