辺野古・大浦湾とキャンプ・シュワブ(写真:筆者)
死亡した「B子母さん」には家族がいた。個体Cと呼ばれる若いジュゴンは子どもと見られ、以前は2頭で泳いでいる姿が目撃されていた。成長して古宇利島近海を「巣立った」Cは活動範囲を沖縄本島東海岸に広げ、餌である海草(うみくさ)の藻場が広がる辺野古近海を生息域としていた。
しかし2015年7月以降は消息が分からなくなっている。大浦湾北の嘉陽沖を餌場としていたオスの個体Aも、2018年10月から行方不明となっている。環境保護団体からは工事の影響が指摘されている。
沖縄の「北限のジュゴン」は明らかに危機的な状況にある。このままでは、個体Bの死因ははっきりせず、沖縄のジュゴンの保護策へ生かされることも期待できない。ジュゴンの解剖は、参院選挙の陰でこっそりと行われた。「B子母さん」の死をうやむやにしないために、全国の多くの人々に注目してもらいたい。
<文/幸田幸(フリーライター)>