Twitter社が発表した宗教ヘイト禁止ルール。必要だが、カルトに悪用される危険性も

カルトのクレーマー体質

 私自身、主に幸福の科学関係者からの通報によって、これまでTwitterのアカウントのロック9回、凍結3回を経験している。公道上で取材を妨害し自らカメラに写りこんできた教団職員の姿を投稿したケース(プライバシー侵害との理由でロック)や、幸福の科学の書籍を評論する投稿でその書籍の表紙やページの画像を掲載したケース(著作権侵害との理由で凍結)などだ。Twitter社に対する異議申し立てはすべて無視された。  私がアカウントをロックされたケースの中には、大川隆法総裁による選挙街宣を取材した際に教団職員が私の体やカメラを押さえつけたりカメラの前に立ちふさがったりした際の写真を掲載した投稿もあった。2012年の衆院選のときのものだ。  選挙に候補者を擁立している政党の代表者が公道で演説をし、それをジャーナリストが公道から取材しようとする。教団の許可を得る必要もない、当然の行為だ。それを教団職員が暴力的な手段で妨害したのだから、それ自体が報道に値する「事件」である。教団職員たちは私が写真や動画を撮影中であることを承知で自らカメラの前に立った。にもかかわらず、このときの写真を添えた私の投稿は「プライバシー侵害」との理由で削除され、アカウントをロックされた。明らかに、言いがかりの通報によるものだ。  先だってHBOLでも報じられた通り、統一教会との関係が指摘されている自民党・菅原一秀衆議院議員について、公職選挙法違反の疑いをTwitter上で指摘したジャーナリストの鈴木エイト氏が、「プライバシー侵害」を理由にアカウントをロックされた(このときは、鈴木氏の異議申し立てをTwitter社が受け入れ、ロックは撤回され投稿も削除されなかった)。菅原議員本人なり、事務所スタッフや支持者による通報でもなければ、こんなことは起こらないだろう。

カルトの行う人権侵害は見過ごされるのか?

 アカウントへのペナルティはなかったが、オウム真理教の後継団体である「ひかりの輪」が、宗教研究者による批判的な投稿を削除させようと、Twitter上でその研究者に執拗にクレームを繰り返したこともある(参照:“ひかりの輪が宗教学者にからむ”|togetter)。  ひかりの輪に抗議する地域住民のデモを取材した宗教社会学者・塚田穂高氏が、ひかりの輪本部が入居する世田谷区烏山のマンションの写真などを掲載し、〈住民・社会との対話と宥和を謳う「ひかりの輪」と上祐史浩・広末晃敏らは、住民の抗議声明文も受け取らず完全無視〉などと投稿した。実際にひかりの輪はこのとき、住民の抗議文を受け取りに出てこず、無視していた。しかし、ひかりの輪幹部である宗形真紀子氏がTwitter上で塚田氏に対して、この点が事実に反するとして投稿の訂正を要求。また、マンションの写真についても、ひかりの輪信者ではない一般住民に対するプライバシー侵害だと主張した。「ひかりの輪広報」を名乗る別のアカウントも、〈今現在ネットで公開され、広範に利用されている情報を利用すると、写真内の垂れ幕などからマンションを特定可能です。住民の方の要請ですのでなにとぞご理解ください〉と主張した。  ところが、だ。実はひかりの輪自身が、自らの公式サイト上に本部住所を掲載しているのだ。自分たちがマンションの住所やマンション名を公表しておきながら、他者が批判的な投稿をすると「住民のプライバシー」を振りかざしクレームをつける。当然、塚田氏はひかりの輪の抗議を受け入れず、投稿の削除も訂正もしなかった。  つい先日の7月9日、明治大学准教授・水谷尚子氏が、こんなツイートをした。 〈幸福の科学は、アムネスティにも明治大学に記者申請も出さずに、これを書いたわけですね。正式に抗議します。カルトの宣伝に、私を使うな!ヘイトをまき散らすイタコ集団、反吐が出る。〉(水谷尚子氏のTwitterより  幸福の科学の機関誌『ザ・リバティ』がウィグル問題に関する集会を無断で取材し、水谷氏の顔写真も含めて記事を掲載したのだ(現在は水谷氏の写真は削除されている)。  これに対して複数の信者のアカウントが反応し、〈どっちがヘイトや〉などと言い合っている。幸福の科学の信者がこぞって一人の人物を批判する光景は珍しい印象があるが、幸福の科学の教団としての対応ではなく、こうした「個々の信者」が気に食わない相手をTwitterに通報するといったことも当然、想定される。  Twitter社の今回の新ルールは、こうした「批判されて当然のクレーマー体質の宗教団体」やその賛同者たちに、批判的言論を抑圧するための強力な手段を与えるものだ。
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批判とヘイトスピーチを混同するな
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