「参院選投票日は休業」と決めたパタゴニアの日本支社長、その真意を語る

「参院選の投票日(7月21日)は直営店をすべて閉店します」──アウトドア・アパレルメーカー、パタゴニアの宣言が話題になっている。その真意はどこにあるのか、パタゴニア日本支社長の辻井隆行氏に話を聞いた。

選挙や「あるべき未来」について、ゆっくりと語らう機会に

パタゴニアサイト

パタゴニア選挙特設サイト「Vote Our Planet」より

──投票日に直営店を閉店するということですが、具体的にはどういう取り組みなのでしょうか。 辻井氏:今回の「Vote Our Planet 私たちの地球のために投票しよう」(VOP)というキャンペーンは、投票日にすべての直営店を閉めるというシンプルなアクションです。  私たちのように製品販売を行う企業にとってはもちろん、必要な製品を捜しに店舗まで足を運んでくださるカスタマー(顧客)にとっても、日曜日が大切な機会であることは重々承知しています。しかし、私たちの未来を左右する投票という行為は、そうした機会にも増して大切だということを、カスタマーの方々と一緒に考える日になればと願っています。  店舗スタッフにとっては、仕事が休みになることで、投票に行きやすくなるだけではなく、大切な家族や友人とともに選挙について、あるべき未来についてゆっくりと語らう機会を提供したいと考えました。

故郷である地球を救うために、ビジネスを営む

──ずいぶん思い切った決断ですが、そもそもどんな経緯で発案されたのですか。 辻井氏:私たちは、誰もが安全で幸せに暮らせる社会を望んでいますよね。安全や幸せの定義は人それぞれですが、それがどんなものであるにせよ、その大前提となるのは健全な地球環境であるはずです。  しかし今、私たちが暮らす地球の健全性は、気候危機をはじめとするさまざまな環境問題によって脅かされています。  そうした中、ヨーロッパを中心に、世界の多くの国々で若者たちが危機意識を高めており、早急なアクションを取ろうとしない政治家や企業に対して不満を募らせています。一方、日本でも、集中豪雨や超大型台風などの異常気象が常態化しつつあり、多くの被害が出始めています。  そうした状況を多くの従業員が懸念しており、「手遅れにならないうちに、社会に大きなインパクトを与えることができるアクションを取らなければならない」という意見が日本支社の中でも散見されていました。  そんな中で、社内のスタッフで構成される一つのチームから「辻井さん、今回はお店を閉めて、しっかりと選挙に向き合うのはどうでしょうか?」という問いがありました。  これまでも、国政選挙の度に店舗を営業しながらVOPキャンペーンを行ったり、カスタマーと政治について考える「選挙カフェ」という企画を実施したりはしてきました。今回、参議院議員選挙というタイミングで、これまでのアクションを一歩前進させることは自然な流れでした。  昨年末、私たちのミッションステートメント(企業理念を宣言した文章)が、これまで以上にフォーカス(焦点)がはっきりとした 「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という一文に変更されたことも、この決断を支えてくれるものでした。
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「フィロソフィを広めること」こそマーケティング
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