10人以上の候補者を立てるには、1億円以上の資金が必要だった
福岡市の繁華街で街頭演説をする山本太郎氏。全国行脚を続けている
第二の壁は資金である。
全国比例区の立候補者は600万円、選挙区の候補者は300万円の供託金を払わねばならない。れいわ新選組の場合、全国比例区で9人、東京選挙区で1人立候補させているので、合計5700万円の供託金が必要になる。
加えて、選挙運動のための資金がいる。選挙のスタイルによってかかる経費はまちまちだ。筆者の場合、事前の活動を含めて4か月ほどで650万円かかった。これは少ない方である。
全国比例区の場合、対象は全国なので資金はいくらあっても足りないくらいだ。ただ目安として、供託金と同程度あれば最低限、形にはなることがわかる。
発足当初から政党要件を満たしていれば、政党助成金が支給される。既存政党は、それを供託金や選挙資金に充当することができる。しかし、立ち上げたばかりで政党要件を満たしていないれいわ新選組は、ゼロから選挙資金を集めなければならない。
山本候補は当初、「1億円集まったら選挙をやる」と言っていた。それは、供託金が約5000万円、選挙運動資金が同額程度と考えれば、1億円で選挙にエントリーするめどが立つという意味だ。目論見通り、その額をあっという間に達成した。
第三の壁は、自分を含めて10人の候補者を揃えることだ。政治を変える力のある候補者をそれだけ揃えるのは、容易なことではない。選ぶ際には、最低次の3つの条件を考えたと推察される。
1.基本的価値観が合致するか
2.何らかの社会問題の当事者であるか
3.知名度やインパクトがあるか
まず、1の段階でかなり絞り込まれる。個々の政策についてすり合わせをすれば、時間がかかるうえに必ずどこかで違いが出る。また、表面上の目指す政策は一致しても、議員の任期は6年間ある。その間に新しい課題は必ず浮上する。
その際に重要なのは、違う分野での政策一致ではなく「新しい課題に対して、同じ出発点から物事を考えられるかどうか」ということだ。そこさえ見極めることができれば、専門分野や得意分野が違っても、事後に齟齬なく政策をすり合わせられる。
また、似たようなことを主張する候補者がかぶるより、違う分野でも底に共通のものを感じる複数の候補者がそれぞれの立場から訴えた方が議論に広がりができ、その分多くの票を獲得できる。