発見された「幻のトラ」 (WWFチャンネルより)
動物園でおなじみのトラやヒョウ。野生の大型ネコ科動物としてポピュラーな存在であるが、自然破壊や密猟により各国で絶滅が危惧されている。とりわけ東南アジアでは、近年、自動車のタイヤの原料となる天然ゴムの栽培などで、この周辺にわずかに残るトラやヒョウが脅かされている。
これは、日本の人々にとっても他人ごとではない。
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、都内でイベント「メコンの森で野生動物を覗き見る」を開催し、同団体が現地の協力で撮影に成功した「幻のトラ」の映像や写真が公開された。また、東南アジアのトラやヒョウを護るための取り組みについて、報告が行われた。
ラスト200頭? インドシナ半島で発見された「幻のトラ」
インドシナ半島メコン川流域に広がる森林は、かつてはトラやヒョウ、アジアゾウやテナガザルなどの野生動物の楽園であったが、この地域での人口増や経済発展に伴う開発により、多くの動物達が絶滅の危機に瀕している。
中でもトラ亜種の一つ、インドシナトラは、カンボジア、ベトナム、ラオスでは、ほぼ壊滅、タイでも約200頭を残すのみ。貴重なインドシナ半島のトラを護るためには、トラ達が生息する森林自体を保全することが重要だ。
そのためには、どこにトラが暮らしているのか、どの地域を優先的に保全していくのかの計画を策定するための情報が必要だ。WWFジャパンは、タイとミャンマーの国境沿いの森林地帯でWWFタイと協力して現地での調査活動を行っていて、ミャンマー側でも調査を進めている。そうして集積された情報をもとにタイ、ミャンマー両国政府に森林の保全を働きかけるためだ。