中朝ICBMの軌道で更に検証!秋田配備イージス・アショア
1) 中国DF-31A ICBM早期警戒を考えている場合
中国の移動式・サイロ固定式発射兼用ICBMである
DF-31Aは、その配備状況など詳細が知られていませんが、中国弾道弾戦力の聖地である内陸部を射点とした場合、秋田市を中心に山形から北海道道南の上空を通過します。
この場合、高度は最高高度に近い1500km前後ですので、やはり多少の山があっても
仰角60°以上に見えていますので、多少の山は関係ありません。
なお中国のDF-31Aの場合、北朝鮮の火星14と異なり
イージス・アショアのもつSM-3 Block IIでは迎撃できません。従って、早期警戒と追尾のみになり、そのデータによって
SBD(洋上配備中間飛翔段階防衛)によって迎撃することとなります。この場合、
合衆国の目であり耳である秋田イージスアショアは、DF-21A(MRBM準中距離弾道弾)による多弾頭先制核攻撃によって秋田市もろとも完全に蒸発することとなります。
ここまで検討してきたように、秋田を中心に、山形から道南の日本海沿岸は、
ハワイの弾道弾防衛にとって絶好の位置にあり、合衆国がもはや社交の下僕と化した日本政府にイージス・アショアの秋田配備を命令することは自明といえます。
2) 火星14に対する合衆国西海岸〜中西部防空の場合
ここで火星14および将来の射程延伸型による合衆国本土攻撃を想定してみましょう。
ハワイ、グァム攻撃の弾道を例外として、東アジアから合衆国本土を攻撃する弾道弾の軌道は、ロシア極東部を通過します。赤い部分は、ロケットモーターの燃焼終了で迎撃に理想的なブーストフェーズは、加速の遅い液体燃料式の火星シリーズであっても北朝鮮、ロシア沿岸に接近せねばならず、困難です。これが北極星シリーズの固体燃料ロケットになると、北朝鮮、ロシア領内の陸上のみからの迎撃となり、不可能であることが分かります。
結果、合衆国本土防空は、秋田のイージス・アショアや青森の前方展開Xバンドレーダーからのデータリンクによってアラスカやカリフォルニアに展開するGBD(地上配備中間飛翔段階防衛)や、ターミナルフェース防衛システムに頼ることになります。従って、秋田配備イージス・アショアは、中国およびロシア領内上空数百〜1600kmを監視出来ねばならないことになります。これは日本政府が、いまだ開発中のSSR(Solid States Radar固体素子電探)の導入に固執し、合衆国から高額の開発費をふっかけられている事とも符合します。
勿論、まだできてもいないSSRですと、納期がいつになるか分かりません。一般にこの手の納期はずるずると遅れます。首無し戦闘機*ならぬ、レーダー無しイージス・アショアになりかねません。
日本本土防空ならば現行のSPY-1レーダーで十分であり、SSRに比して圧倒的に安く、即納で、実戦証明済であるにもかかわらずです。
<*かつて帝国陸軍の三式戦闘機「飛燕」(ひえん)は、たいへんに優秀な戦闘機であったが、高性能エンジンの製造が間に合わずエンジンのない首無し戦闘機が莫大な在庫となってしまった>
結果、秋田国家石油備蓄基地は、西側から北西側の地平が山塊に支障されるために不適となります。これは、見通し角度だけでなく、電波反射による障害が予想されるためです。
一方で秋田市新屋演習場は、完璧な監視哨となります。勿論、対米核抑止力を妨害する形となる秋田配備イージス・アショアは最大級の脅威と見做され、
最優先で破壊工作と先制核攻撃がなされることとなります。
合衆国の「ジャケットマン」(人間防弾チョッキ)としての日本イージス・アショア
これらは本来、
洋上展開MDイージスで完璧に兼ねることができるわけで、日本にとって全く意味のないことです。むしろ、
秋田は数十キロトン級の複数の核または数百キロトンの複数の核で焼き払われ、後者の場合は秋田市域全体が完全に無人となる脅威を抱えることとなります。萩のイージスアショアも同じく
数十キロトン級の複数の核によって先制核攻撃される脅威を抱えることとなります。
HBOLにて横田一氏が指摘するように*、一連のイージスアショア日本配備を巡る動きは、これは安倍政権、自民党と密着した関係にある合衆国のCSIS(戦略国際問題研究所)による
” Shield of the Pacific: Japan as a Giant Aegis Destroyer, Thomas Karako, CSIS, May 23, 2018″ という発表文ときわめてよく一致します。
<*
“イージス・アショアの秋田・山口配備は「米国の基地を守るため」!? | ハーバービジネスオンライン”横田一2019/06/28>
要は、日本を太平洋に浮かぶ巨大駆逐艦とし、ハワイ、グァム、東海岸といった弾道弾防御の手薄な地域の防御を鉄壁となす。日本にイージス・アショアを買わせることで、合衆国は10億ドル(1000億円)を節約出来る。というものです。
これはまさに
本連載第7回にて指摘した、日本を合衆国のレーダーピケット艦にすることになるという推測と完全に一致します。
この部分を再掲します。
(再掲開始)
”軍事面では、現在日本は合衆国にとっての不沈空母からレーダーピケット艦に転落しています。それがイージス・アショア配備計画です。しかも日本のお金を使ってです。更に言えば、やっていることはレーダーピケット艦と言うよりは黒潮部隊*です。
レーダピケット艦というのは、本隊を守って自らは真っ先に集中攻撃され大きな被害を受ける被害担当艦でもあって、要は捨て駒です。自ら1兆円前後のおカネを払い、平時には大出力レーダーによる民生への悪影響(公害)を出しつつ、いざとなると先制核攻撃で蒸発する。市民にとって得るものは何もありません。精々、カタログスペックは見事な「カッチョイイ」兵器に恍惚とすることくらいでしょう。
*特設監視艇……とは名ばかりで、第二次大戦中に日本はるか東の太平洋上で、合衆国艦隊や航空機を早期に発見する為の哨戒線に展開された魚船団。きわめて軽武装の木造徴用船で、敵艦隊、敵機を発見次第、無電で通報するが、ほぼ同時に嬲り殺しにされ、敵を発見すれば生還は不可能だった。徴用された漁船は400隻、最大で6000人の軍人(将校)と軍属(漁船員)が投入され、撃沈破7割以上、撃沈200隻余りにのぼる。将校の多くは商船学校などの学生や卒業生であり、徴用された漁船員は軍属として投入されたが、戦後の書類焼却によって数千から千数百人にのぼるとされる犠牲者数は今も明らかになっていない。”
(再掲ここまで)
更に加えれば、安倍政権による当初の説明に反して1600億円とされたイージスアショアは
すでに6000億円超えで、最終的には1兆円を超えることは確実でしょう。そして日本は、
最優先の先制核攻撃の対象となるのです。常識的に先制核攻撃の対象は、秋田市、萩、東京都心部、立川市といった弾道弾防衛の要と指令系統の中枢であろうと考えられます。他にも、前方展開Xバンドレーダーサイトが該当すると考えられます。