韓国講演で語った東電と国の放射能汚染水を巡るでっち上げ。コロラド博士、韓国をゆく

福島核災害にて、なぜ放射能汚染水が発生するのか

 そもそも「放射能汚染水」とはなにか  福島核災害の特徴は、下記です。 1) 3基の大型軽水炉が相次いで炉心溶融(メルトダウン)を起こし、溶融炉心は原子炉を貫通(メルトスルー)した後に、格納容器基礎部分でコリウム(溶融炉心)が止まったと考えられる 2) 水素爆発によって2基の原子炉建屋は大破した 3) 1基の原子炉格納容器は内圧によって破損した 4) 地下水の流入によりコリウムから放射能汚染水が発生しており、これは今も止まっていない 5) 事故後9年目になっても地下水流入は止められず、コリウムの状態も分からない  地下水の流入が止まらない理由は、福島第一原子力発電所が、大芋沢(現在、台地上から原子炉建設面に降りる主要通路となっている)を代表として数多くの小河川、枯れ川を堰き止める形で建設された結果、原子炉建屋が地下水脈を堰き止める事となり、造成工事の時点から一貫して大量の湧水に悩まされてきた事にあります*。 <*参照:福島原発土木工事の概要(1)(2), 佐伯正治, 土木技術22巻9号&10号1967年9月,10月 >  これがチェルノブイル核災害との決定的な違いで、福島核災害においては、常時地下水の流入が発生し、これがコリウムと接触、放射能汚染水となります。  この汚染水を回収し、循環冷却水とすることがなされましたが、凍土壁を作っても事故直後800t/Dayの地下水流入が、200t/Dayに減少しただけで、コリウムに接触した水は増え続けています。  コリウムと接触した水は冷却水として循環しますが、日量200tで増加するため、セシウム・ストロンチウム吸着装置、脱塩装置、多核種除去設備(ALPS)によって放射性核種ほか、不純物を除去されます。  不純物除去後の水には除去が困難なトリチウムが残留します。このトリチウムは、主として臨界防止用に添加されたホウ素が中性子照射を受けることによって生じていますので、コリウムを水で冷却する限り、発生しつつけます。  このALPSなどによる多核種除去処理でトリチウム以外の62核種を除去したという大前提において、立ち並ぶタンクの中身は、「トリチウム水」であると国と東電は主張してきました。  実際、年間20~30万トン増加する「トリチウム水」を漫然と小型タンクで貯留することは非効率なだけで無く事故リスクや労働者の被曝リスクが深刻であり、この「トリチウム水」に含まれる放射性核種が本当にトリチウムだけであるのならば、厳しい制限下での海洋放出はやむを得ないと私は考えていました。  その社会的合意を得るための手続きがPublic Acceptance(PA)としての2018年8月30、31日両日に行われた公聴会でした。

明らかになった国と東電が語っていた「嘘」

 しかし、河北新報のすっぱ抜きとフリーランスライターの木野龍逸氏が報じた事実は、タンクの中にある「トリチウム水」の過半は、環境基準を超える放射性多核種を含むということでした。(参照:処理水の放射性物質残留 ヨウ素129基準超え60回 17年度 | 河北新報 2018年08月23日木曜日トリチウム水と政府は呼ぶけど実際には他の放射性物質が1年で65回も基準超過(木野龍逸) – Y!ニュース 2018年08月27日月曜日)  この問題は、牧田によってHBOLに解説記事が執筆されていますのでご参照ください。 “東京電力「トリチウム水海洋放出問題」は何がまずいのか? その論点を整理する | 2018/09/04 牧田寛 ハーバービジネスオンライン”  これにより国と東電が、市民と世界に向けて嘘をついていたことが露呈し、公聴会は鳴門の渦潮に巻き込まれた丸木舟のように大荒れに荒れ、「トリチウム水」海洋放出は、頓挫しました。鳴門海峡海底では、ゴーゴン大公*が大笑いしていることでしょう。<*ゴーゴン大公とは、『マジンガーZ』シリーズの悪役で、鳴門海峡海底に基地を擁している)  最近、NRA(原子力規制委員会)が、会見において「汚染水」と言う質問に「(ALPS)処理水」だと声を荒げて言い換える場面を見るようになりましたが、トリチウムしか入っていないと称してきた「トリチウム水」に基準値を超える多核種の放射性物質が入っていた事実の前には、全く意味がありません。  国、東電、NRAは、このことに関しては信用を完全に失っているのです。信用醸成には何年も何十年もかかるでしょう。ここにヒノマルゲンパツPA(JVNPA)が失敗した自滅の一典型事例を見ることができます。
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国と東電の「デタラメ」さ
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