「客員教授」とは、大学や研究所などの学術機関に一定期間、非常勤で教授に相当する教員に付与される職位呼称である。客員教授以外にも、特別任用教授や、特命教授などの呼称もある。
客員教授は正式な教授ではないが、大学の外部から実務家らを招き、専攻分野について教育や研究などにあたらせるためのポストだ。「専任の教授と同等の資格がある」と認められた者が採用される。客員教授の採用方法、労働条件は各大学で異なる。
京都大学が1973年に制定した客員教授に関する規定では、「引き続き3月以上専攻分野について教育又は研究に従事し、本学の教授又は准教授と同等以上の資格があると認められる者」に付与される称号である。ノーベル賞を受賞した卒業生らを客員教授にしている。
筆者が20年間、大学院教授として勤務した同志社大学では、外国の学者を招聘する時や、大学が企画するセミナーなどに招くために与える称号である。卒業生の評論家・佐藤優氏や茶道の千宗室氏などが客員教授になっている。
筆者が2年間、非常勤講師を務めた慶應義塾大学(筆者の出身校)でも、客員教授は重要なポストであり、学生に授業をしていた。
客員教授は専任の教授とは違って、毎週授業をすることはない場合もあるが、田﨑氏のように任期の3年間で1回も講義、ゼミ(演習)や講演会もやらないというのは聞いたことがない。
筆者は4月24日にTBSへ、4月26日にテレビ朝日に、取材依頼書を送った。質問項目は以下の3点である。
①出演者の肩書を紹介する際、おそらく本人の意向を聞いた上で、貴局がタイトルで表記されていると思うが、田﨑氏の肩書きを決めている責任者は誰か。
②私の取材では、田﨑氏は駿河台大学において科目を一つも持たず、学生に教えることもない「客員教授」と分かった。視聴者は「大学の先生」と受け取って、コメントを視聴していると思う。田﨑氏のテレビでの肩書きを駿河台大学客員教授とするのは適切か。
③田﨑氏は貴局において、2018年6月ごろまで、「時事通信特別解説委員」として出演していた。「元・時事通信特別解説委員」という肩書きの方がふさわしいのではないか。
TBSテレビ社長室広報部は4月26日、
「①プロデューサーです。②学校法人駿河台大学から客員教授に委嘱されていると承知しております。③日頃皆様から頂いているご意見は、今後の番組づくりの参考にさせていただいております」とファクスで文書回答した。
またテレビ朝日広報部は同日、
「①番組制作の体制の詳細については、回答を控えさせていただきます。②ご意見として伺います」と答えた。
TBSからの回答
テレビ朝日からの回答
筆者は4月下旬、駿河台大学の小森室長に、田﨑氏がその後も「駿河台大学客員教授」としてテレビに出ていることを伝え、「大学でまったく教育研究をしていない人が、貴学の客員教授としてテレビに出ていることについて、何もしていないということか」と聞いた。小森室長は「この件で、本学として何もしていない。今後もする予定はない」と答えた。
室長はその後、「これは取材か。これまで取材とは思わず、電話であなたに話してきた」と言い出した。私は「最初に電話した時に、代表電話に出た職員に身分を明らかにして、取材を申し入れている」「一般の人の問い合わせと取材はどう違うのかどこで線引きするのか」と話したが、「取材なら取材と言うべきだ」と強硬に回答を拒否した。