自然塩に含まれるミネラルが野菜の旨味を引き出してくれる
調理中の野菜。本物の調味料を使えば、余計な調味料はいらない
味の決め手は、調味料にかかっていることは当たり前だ。今や、本物の調味料は巷ではなかなか手に入らない。本物でないものが“本流”になってしまった。
巷でよくみる「食卓塩」などの精製塩は、電気分解によって塩化ナトリウム100%近くに精製されている。しかし、本来の自然塩には微量ながらも20種類以上のミネラルが入っていて、そのバランスが大切なのだ。
人間のルーツは海だ。自然界にあるものを摂取して生存進化してきた。「高血圧の原因は塩」だから「塩分を控えろ」というのが常識だが、自然界にない人工的なものを体内に入れても吸収しづらいから、体にさまざまな弊害をもたらすのだ。
同時に、生活習慣病の原因として「慢性的なミネラル不足」と言われるが、本物の塩を摂っていれば不足分は改善される。自然塩には塩化ナトリウムだけでなく、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどさまざまなミネラルが微量ながらもバランス良く入っているから、自然界の作物と調和して旨味も引き出してくれる。
「 たまTSUKI」で人気だった「いろんな野菜のお醤油焼き」。伝統製法の醤油だけで味が決まる!
醤油も味噌も、みりんも酢も、すべて時間をかけて発酵させたうえで作られるもの。しかし現在は、コスト削減、効率化、製造期間短縮のために、本来の製法とは違う方法や違う材料によって作られているものがほとんどだ。しかしそれでは味が整わないから、さまざまな添加物を加えて本物の調味料の味に近づける。だが、これでは本物とは言えない。
伝統製法で本来の時間をかけてつくられた本物の調味料を使って料理すれば、味が一発で決まる。14年間営んだ「たまにはTSUKIでも眺めましょ 」の料理は、ほとんどが塩と醤油だけで味つけしたものだった。化学調味料は一切使わない。それなのにお客さんたちは「素材の味が引き出されていて美味しい」と言ってくれた。「どんな醤油、どんな塩、どんな調味料を使っているのか」とよく聞かれもした。
油もそうだ。伝統的な焙煎・圧搾方法で作られた国産の菜種油などは、香りだけでもうっとりする。巷のサラダ油やキャノーラ油などは、アメリカやカナダなどで栽培された遺伝子組み換え大豆やアブラナ科の作物などから精製されている。香りなどもほとんどしない。そもそも自然界にないものから作られているわけだ。
本物の調味料を手に入れるには値が張る。そうでないものは安い。だが、安いもので味つけしても良い味にはならないから、他の調味料がたくさん必要になる。結局は買う物が増え、キッチンは調味料だらけになり、掃除もたいへんでゴミも増える。
本物の調味料を使えば、他に買う必要はない。買い物頻度は減り、掃除も楽になり、ゴミも少なくなる。トータルコストで言えば、本物を使ったほうが安いということになるのだ。しかも何より、料理が美味しく仕上がる。