世界を席巻する女性アーティストは何を歌っているのか? ビリー・アイリッシュからジャネール・モネエまで

今年の夏フェスで要注目の女性アーティスト

 そして近年だが、女性アーティストの中でも、オルタナティヴなタイプの女性アーティストがとりわけ注目を集めている状況だ。それはつまりどういうことか。いわゆる、ヒットチャート上を“セレブ”として独占するタイプのアーティストではなく、よりサブカル寄りのリスナーに訴えるタイプの、自作自演系の女性アーティストだ。そのことは、ここ数年、世界のインディのロックで話題となるのがほとんどが女性のソロかヴォーカルのバンド、という事実でも明らかだ。  そういう流れでまず紹介したいのが黒人R&Bアーティスト、ジャネール・モネエだ。彼女は最近、女優デビューも果たしており『ムーンライト』や『ドリーム』といった映画でも重要な役を演じているが、もともとはジェームス・ブラウンやプリンスの影響を受けた、ファンクを現代にアップデイトしたサウンドで聞かせる音楽性で批評家筋からは既に10年近く評価の高い人だ。  また同時にレズビアンでもあり、LGBTQのプライドや、その前に立ちはだかる保守的な社会勢力に屈しない姿勢を歌う姿でも共感を集めている。  続いて紹介するのはMitskiだ。彼女は日本生まれ、親の転勤の都合で世界中で育ち、現在はニューヨークを拠点に活躍する日系女性ロッカー。彼女は、そのどこの世界にも属せない孤独を歌った歌詞と、変幻自在の自由な音楽性で注目を浴びている。  ’16年に「アメリカ人のあなたにとって理想的なガールフレンドになれない」と歌った『Your Best American Girl』で注目された彼女も、‘18年夏にアルバム『Be The Cowboy』が大絶賛される頃には、アメリカにおけるアジア系のインディ・ロックシーンを牽引する存在にまでなっているが、完全にぬぐい去ることはできない不安で孤独な気持ちを、多く連呼される「誰かからのキス」を強く求めるリリックに象徴させている。  もう一人はステラ・ドネリー。彼女は今年の3月にデビュー・アルバム『Beware Of The Dog』でシーンに現れたばかりのオーストラリアの女性シンガーソングライターだ。  オン・ザ・眉毛のボブの髪型に大きな目、小柄な痩せた体に、舌足らずのややかすれたハイトーンで歌う様は、一見、「キュートなサブカル少女」風なのだが、アルバム中の歌詞ではほとんど保守的なオーストラリア男性を揶揄。代表曲の『Tricks』では、極右の象徴のタトゥーをして、同国で有名なラジオのタカ派トークショウを聞く男をこき下ろして、いたずらしようとするなど、かなりポリティカルな領域に踏み込んでいる。  この3人はいずれも今年のフジロックにも出演するので要注目だ。 <取材・文/沢田太陽>
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