インターステラテクノロジズ(IST)の観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」の打ち上げ 提供: インターステラテクノロジズ
堀江貴文氏らが設立した宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ(IST)」は2019年5月4日、観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」を打ち上げた。
ロケットは高度100km以上の宇宙空間に到達し、打ち上げは成功。民間企業が単独で開発・製造したロケットが宇宙空間まで到達したのは日本初となった。
同社では4号機の製造を進めるとともに、人工衛星を打ち上げられる新型ロケットの開発も加速させる。
インターステラテクノロジズ(IST)は、2013年に堀江貴文氏らが立ち上げた企業で、日本では数少ないロケット開発を手がける会社である。2005年に立ち上がった有志団体をその発端とし、企業化やロケットの大型化など、10年以上にわたって活動を続けている。
同社が開発した「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」(以下「MOMO 3号機」)は、高度100km以上の宇宙空間に、観測装置や実験装置などを打ち上げることを目的としている。こうしたロケットは「観測ロケット」と呼ばれ、人工衛星を打ち上げるロケットとはまた異なる需要、市場が存在する。
具体的には、宇宙や高層大気の観測や、宇宙到達後に落下する際にロケットの内部が微小重力環境になることを利用した宇宙実験、ロケットや衛星に積む新しい装置の試験などがあり、米国などではすでに事業化されている。ISTではまた、ロケットの打ち上げそのものを利用した企業の宣伝やエンターテインメントなど、幅広い用途での需要を見込んでいる。
また、開発に必要となる技術は、将来的に衛星を打ち上げるロケットを開発する際にも役に立つ。
MOMOロケットの1号機は2017年7月に打ち上げられ、エンジンの性能などの実証には成功したものの、高度約10kmでトラブルにより宇宙空間には到達できなかった。ISTはその教訓から、機体の構造を強化したり、さらに機体の姿勢を制御するための、「スラスター」と呼ばれる、小さなロケットエンジンのような装置を搭載したりといった改良を施した、MOMO 2号機を開発した。
2号機は2018年6月に打ち上げられたが、ロケットは数m上昇したのち、エンジンが停止。落下して炎上し、打ち上げはふたたび失敗に終わった。
MOMO 2号機の打ち上げ失敗時の様子(2018年6月30日撮影) 提供: インターステラテクノロジズ