「消費税増税に反対」の民意が大阪12区補選の結果に表れた!?
結局、大阪12区補選は「消費増税延期(凍結)」を訴えた維新の藤田氏が約6万票で初当選。安倍首相らの支援を受けた北川氏は約4万7000票にとどまり、自民党は大阪12区の議席を失った。予定通りの増税実施を掲げる自民党公認候補に勝利したことについて、当確で喜びに沸く藤田氏の事務所で聞いてみた。
――藤田さんは「勝利すれば、消費増税延期の可能性がある」と選挙中に訴えられて、実際に当選されました。これは「消費増税延期・反対の民意を受け止めた」と考えているのでしょうか。今後、参院選の公約に掲げるなど、消費増税延期に向けて動かれるのでしょうか。
馬場伸幸「日本維新の会」幹事長:地元に帰れば、ほとんどの方が「消費税増税には反対」ということです。我が党としても一貫して「消費税の増税は凍結」ということを訴えてきていますので、それが投票の方にも広がってきているのではないか。我々は「消費税増税については反対だ」という方々の民意を汲み取っていると理解をしていますし、今後、国会でもあらゆる機会を通じて提言、要望していきたいと思っています。
藤田氏:選挙期間中も消費税増税について演説の中で話しましたが、街中の声としても反対を訴える声をたくさん聞きましたし、私個人としても党としても「消費税の増税には反対」ということで、ニュースの中でも注目度の高い選挙と私も認識したうえで、皆さんの民意にお応えしてきたつもりです。
――安倍首相が現地に入って「給料が上がってアベノミクスは好調だ」と、増税可能な状況と強調しながら応援演説をしましたが、それに対して有権者の民意は「そうではない」と答えたと捉えていいのでしょうか。
馬場幹事長:国民一人一人の懐は、いろいろな経済の数字よりも暖まっていません。高度成長時代に「所得倍増論」がありました。その時は、今月よりも来月、来月よりも来年と、給与が上がっていった。夢と希望に満ち溢れていた時代だったと思います。今は、一人一人がそういう状況になっているのかと言えば、それはなっていないと思います。
今夏の参院選は消費増税イエスかノーかを問う選挙になる!?
さらに記者会見後の囲み取材で、馬場幹事長は安倍首相の「収入アップ発言」についてこう語った。
「名目賃金が上がっていても実質賃金は下がり、可処分所得は下がっている。名目賃金が上がっても可処分所得が増えないと景気はよくならない。萩生田氏が話している動画を見たが、個人的な意見ではない。安倍首相から『増税延期の観測気球を上げてこい』と指示され、原稿に沿って話したように見えた。どちらにせよ、補選勝利の追い風になったのは間違いない」
萩生田発言で消費増税が争点として急浮上した大阪12区補選で自民公認候補が敗北したことで、今夏の参院選でも消費増税イエスかノーかを問う“アベノミクス審判選挙”になる可能性が一気に高まった。
このまま安倍政権が「収入(名目賃金)アップ」などを列挙してアベノミクス好況をアピールし続けるのか。それとも、実質賃金ダウンの“アベノミクス不況”を認めて消費増税延期へと軌道修正をするのかが注目される。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数