「補選勝利で増税延期(凍結)が可能」と訴えた藤田文武候補(左・現衆院議員)と松井一郎・日本維新の会代表(大阪市長)
萩生田発言を肯定せずに“アベノミクス好況(収入アップ)”を演出、予定通りの消費増税の方針を変えない安倍政権に対し、非自民勢力は増税反対(延期)を旗印にしていた。
萩生田発言が飛び出した18日、寝屋川市駅前。大阪ダブル選挙勝利で勢いづく「日本維新の会」の藤田文武候補(現・衆院議員)は、街宣車の上でこう訴えた。
「(補選で)私を押し上げていただいたら『消費税の増税を吹っ飛ばせる』と言われている。(大阪12区の)寝屋川市・大東市の皆さんに、維新と藤田文武にもう一回期待をかけてもらったら、消費税の増税までドーンと吹っ飛ばせるかも知れない」
続いてマイクを握った松井一郎市長(維新代表)も「ここで増税を許すと、高齢者の社会保障費を掲げられて大増税国家になります。増税凍結をするために藤田候補を勝たせてください」と呼びかけた。
大阪12区補選の野党統一候補、宮本岳志・前衆院議員の応援演説に駆けつけた志位和夫・共産党委員長
野党統一候補の宮本岳志・前衆院議員の応援に駆けつけた共産党の志位和夫委員長も翌19日、「消費増税が一大争点になった」と強調した。
「萩生田さんは増税実施延期を『まだ間に合う』と言った。その通りです。これからでも止められる。宮本さんを勝たせていただければ、大変なインパクトを持って永田町に衝撃波が走ります。そして止めることができます」(志位委員長)
この街宣で志位委員長は、安倍首相が実質賃金ダウンを認める答弁をしていたことについてもこう紹介していた。
「衆議院予算委員会で安倍首相と議論をしましたが、消費税8%に増税をした2010年を機に5年連続で家計消費マイナス、増税前に比べて25万円も世帯当たり減っています。働く人の実質賃金は10万円も減っている。増税なんかやれる状況ではない。
(家計消費と実質賃金の)グラフを見せて『安倍さん、水面下に沈みっぱなしではないですか』と言ったところ、安倍首相は『たしかにグラフでは水面の下に沈んでいて顔は出ていない』と認めました。
人に例えれば、人が溺れている状態じゃないですか。そこに増税を被せるということは、溺れている人の頭を押さえつけて足を引っ張って水の底に沈めちゃうような話ではないですか。景気の底が抜けてしまうのは明らかではないでしょうか。
安倍首相は『そうならないように、(消費増税で)いただいいた分はすべてお返しをする対策をちゃんとやります』と言う。『返すぐらいだったら最初から増税をやるな!』と言いたい」
安倍首相の発言は、確信犯ではないか。国会では実質賃金ダウンを認めながら、街頭演説では「アベノミクスで収入アップ」という“虚偽発言”。家計消費を左右するバロメーターである実質賃金を名目賃金にすり替えて“アベノミクス不況”を粉飾(偽装)、増税延期不要な経済状況(好況)と印象づける世論工作をしたといえる。選挙中にウソを広めることを禁じる公職選挙法違反の疑いも出てくる。