一方、教団と繋がる政治家や秘書の動きも迅速だった。全国弁連関係者によると、同月中旬、教団本部の総務局長名で抗議文書が送付されてきたほか、声明文と一緒に配布されたチラシ「宗教の勧誘であることを隠して近寄る 統一教会=家庭連合にご用心 学生生活だけではなく人生・生活までも破壊される」に「様々な団体」として記載された
勝共UNITEを所管する国際勝共連合からも同様の抗議があったという。当該抗議文書は、全国弁連による声明文や配布資料を全国会議員事務所とメディア関係者から回収した上で、教団の名誉を棄損したことを陳謝する謝罪文を配布するよう求めるもので、誠意ある対応が見られない場合には法的手続きを検討するとしていた。
想定されていたが、
全国弁連の声明文配布を教団へ御注進に及んだ政治家や秘書がいたということになる。御用聞き政治家や信者秘書の存在が改めて浮かび上がった。
全国弁連の要請を尻目に、7月1日と22日、教団が開催した大規模信者集会に閣僚クラスを含む多くの国会議員が来賓参加し、祝電を贈った。
緊急院内集会からちょうど一月後となる7月1日、教団は全国から2万人の信者を動員し最高権力者・韓鶴子総裁を主賓に迎え、さいたまスーパーアリーナで『日本宣教60周年記念 2018神日本家庭連合 希望前進決意2万名大会』を開催した。
大会への参加の有無にかかわらず、全国の信者全員に1万円の祈願書献金が課せられた。実質信者数とされる10数万人で単純計算すると10億円以上を荒稼ぎしたことになる。
教団が献金集めの手段として使う祈願書、金・銀・銅・白と色によって金額が違う
この欺瞞的な献金集め集会に6人の国会議員が来賓参加し、そのうち2人が壇上から祝辞を述べた。来賓として司会者から紹介され、会場の信者に腰を折って御辞儀した議員は以下の6人。
柳本卓司参議院議員(自民、大阪)、工藤彰三衆議院議員(自民、愛知4区)、宮島喜文参議院議員(自民、全国比例)、三ツ林裕巳衆議院議員(自民、埼玉14区)、神山佐市衆議院議員(自民、埼玉7区)、本村賢太郎衆議院議員(無所属、神奈川14区)。
2万人信者集会に来賓出席した6人の国会議員たち(PeaceTVより)
本村以外は
全員自民党の国会議員だ。そのほか、多くの国会議員秘書や地方議員の来場もアナウンスされた。また、47人の国会議員から祝電が届いたことが紹介され、その中から
逢沢一郎衆議院議員(自民、岡山1区)と
木村義雄参議院議員(自民党、元厚労副大臣)。ともに教団イベントに複数回参加している議員だ。
柳本は、韓鶴子を「韓鶴子総裁様」教団の徳野会長を「徳野会長先生」と呼称し「敬意を表するとともに喜びを分かち合いたい」「真(まこと)の父でございます文鮮明先生は私の早稲田大学の先輩でございました」などと発言。しかしながら文鮮明が早稲田大学に在学していた事実はない。文が通っていたのは早稲田高等工学校だ。当初、文は早稲田大学卒業と標榜していたが、後に学歴詐称との指摘を受けている。柳本は教団側の歴史修正を知らなかったようだ。
工藤も「このような素晴らしい大会にお招きいただきお礼申し上げます。60周年、そして様々な場所でこのようにご挨拶させていただいております。光栄の極みでございます。3年前、世界平和統一家庭連合、この家庭という文言が入るセレモニーで間違えてしまいました。真(まこと)のお父様を真の親方様と言ってしまいました。今日は皆様とともに韓鶴子総裁、真のお母さまとともにこのようなお祝いの場を設けることができた、本当に嬉しく思います」と会場の笑いを誘いつつ、挨拶した。