橋下徹・元大阪府知事がジャーナリストを名誉毀損で提訴。しかし、法廷で証言の矛盾を追及される

「謝罪をしてくれていれば提訴しなかった」と弁明

 この後、橋下氏は「私にはごまんとひどい報道があるが、謝罪とか連絡があれば訴えない」と強調した。「大阪と東京の事務所で、「間違った報道があると、大手メディアの場合、『事実誤認なので削除、謝罪する、訂正する』などという連絡が入る。岩上氏の場合は削除、謝罪の連絡がなかった」。  楠弁護士は「岩上氏は交渉しても交渉に応じてくれる見込みがない方だから、事前交渉をしなかったと言っている。岩上氏が謝ってきていれば訴えなかったとも言っているが、方針があべこべになっているのではないか。『自殺』は言い過ぎではないかなどと、ここが違うという話になって、こちらも初めてチェックし、確認不足ではないかということになるのではないか」と追及した。  これに対し、橋下氏は「私に指摘をしろと言うのだろうが、世の中でいろんなことを書かれているのでいちいち対応できない。表現者の責任だ」と答えた。  また、「削除もしているのだから、提訴前に確認してもよかったのではないか」と再び質問したのに対し、「岩上氏の過去の記事を見ている。この人は全く交渉相手にならないと判断した。大手メディアの場合は、調査不足の中で先走ってしまったと認め、訂正・謝罪をするので、こちらも寛容に対応している。それが岩上氏からはなかった」と答えた。  さらに、「岩上氏の提訴の後の記者会見、反訴も見ると、内容証明を出しても無駄だったことが分かる」と述べた。  梓澤和幸弁護士は「訪台3か月前、会議で訪台の方針を議論したと言ったが、方針を決めた会議の名前は特定できるはずだ」と質問。それに対して橋下氏は「大阪府のホームページ、何何部との打ち合わせと全部書いている。担当部局との会議なんて名前が付いていない。おそらく、組織を運営していないから分からないのだと思う」と反論した。  橋下氏は「質問が無理なので、裁判長、質問を切ってください」。裁判長は次の質問を促し、梓澤弁護士は「台湾訪問の府としての方針を決めた会議の権限は何か」と聞いた。「権限は最終的に知事にある」と言い切った。

遺書を確認せず「職務上の自殺ではない」と結論

 最後に西晃弁護士が反対尋問を行った。 西弁護士:訪台2日前の9月3日、杉本伸雄・商工労働部長(2012年退職)が『府民文化部が文書化したものに、台湾の経済部長との件は異議がある。このまま放置すると商工労働部の責任になる恐れがあるので、府民文化部に確認をとるように』ということを聞かされていると思うが、橋下氏は知っているか。 橋下氏:知らない。   西弁護士:その時に、『確認を』と指示された職員は『確認の必要はない。責任は私がとる』と返答している。これは府のN参事自殺に関する調査報告書に書かれているはずだが、それは見ているか。 橋下氏:報告書をそこまで読んでいない。最も重要なのは(知事に)責任があるかどうかだから。 西弁護士:責任を自分がとりますと言って、杉本部長からの確認要請を断った職員は誰か知っているか」。 橋下氏:知らない。 西弁護士:この人がN参事だ。 橋下氏:報告書は公になっているのか。 西弁護士:なっていない。私たちが必死に調査して知った。N参事の遺書の中身は今でも分からないということか。 橋下氏:分からない。 西弁護士:遺書の内容を全く吟味、検討せずに、N参事の自殺が職務上のものではなく公務上のものではない、因果関係がないと言えるのか。 橋下氏:私は総務部長にきちっと調査するように命じ、家族のみなさんにもしっかり話をするように指示した。もし、家族の方が遺書を見てほしいというなら、必ず私のところに来たはずだが来ていない。弁護士も入った分限調査委員会がすべて検討した結果、結論付けている。 西弁護士:遺書との関係ではどういう報告が上がっていたか」「関係ないという報告だった。個別の案件で報告書を全部読むことはできない。報告を聞いて、俺の責任か、ないなら組織の責任で対応をしていくということだ。  末永裁判長は府に対し、元ツイートで言及された橋下氏と府職員の紛争を調査した府報告書の文書送付嘱託を行なったが、大阪府は提出を拒んだ。岩上氏側は地裁に提出命令を出すよう請求したが、裁判長は請求を棄却していた。
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「補足発言」を求め、却下された橋下氏
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