川口市の小学校、学校ぐるみで“クルド人少女のイジメ事件”隠し

教頭は「心が弱い」と、少女にも非があるかのような発言

 次の日、少女は病院で治療を受けた。その後に少女の母、従兄弟の妻(日本人)、少女の3人で学校に向かった。家族の苦情に対し教頭は「(少女は)心が弱いから……」と、少女にもまるで非があるような発言をしたそうだ。  筆者の質問に対し、教頭は「弱いなんて言っていない」と否定。何度も追及していくと「そもそも(少女の)母親には一切、会っていない」と答えた。  しかし、間違いなく会っているという家族の証言により、再び「なぜ母親と会っていたのに会っていないと嘘を言ったのか」と質問した。教頭は、今度は「母親と会っていないなんて言っていない」と答えた。何故、証言がこうもコロコロ変わるのだろうか、学校の闇を感じる。  A君の件に限っては、少女は養護教員に事情を訴えたが、それが職員たちに共有することなく終わり、「ただぶつかっただけ」という判断で終わっていた。

学校の教員たちは、誰一人として少女の側に立たなかった

 暴力事件のショック、そして学校側の不信感から、少女は登校拒否になってしまった。勉強がしたい、それでも学校に行くことは怖くてできない。なぜイジメをした側が、何事もなく毎日、学校に通い、自分は行くことができないのか? 少女の苦しみは募るばかりだった。  また、この問題に関係ないPTAや「通訳」と称したほかのクルド人までが家に入り込んできた。その誰もが加害者側をかばう無神経さに、少女の嫌悪感は増す一方だった。  支援者たちは、学校に何度も卒業式までの解決と、部外者の介入の停止を求めたが、学校の教員たちは誰一人として少女の気持ちを考えて行動するものはいなかった。たまに担任が卒業式の説明に来たが、まるで少女のせいで問題が解決しないとでも言うような態度に、更に傷つけられた。学校に少女を本気で呼び戻そうとする教員はいないようだった。  教科書を取りに行くため、久しぶりに学校に顔を出せば、隣のクラスの子供にまで陰口を言われる始末だった。状況は良くならないどころか、目に見えて悪化の一途を辿り続ける。  そんな少女も、どうしても卒業式だけは参加したかった。1年から、辛い事があってもずっと頑張ってきた。自分がこの国で生きるために、家族の為に、そして自分の夢を叶えるために。この決心にいったい、どれだけ勇気が必要だっただろうか。決して簡単なことではない。
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勇気を出して参加した卒業式で待っていた地獄
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